2017 年 61 巻 2 号 p. 84-86
SDS-アガロースゲル電気泳動法とアシッドバイオレッド染色を組み合わせた尿タンパク分画法が腎障害部位予測に利用され始めている.本研究では,SDS-アガロースゲル電気泳動法の利用の幅を広げる目的で,同電気泳動法に適した銀染色法と,ウエスタンブロット法へ応用するための検討を行った.SDS-アガロースゲル電気泳動法で分離されたタンパク質は,銀コロイド染色により検出された.バックグラウンド染色の軽減法として,固定液への硫酸亜鉛の添加や,湿潤ろ紙を重層法が有用であり,アシッドバイオレッド染色と比較して~30倍の検出感度となった.さらに,SDS-アガロースゲル電気泳動後のゲルから自然転写法によりタンパク質をPVDF膜に転写することで,ウエスタンブロット法への応用が可能であった.以上の結果は,SDS-アガロースゲル電気泳動法は,基礎研究にも活用できることを示唆する.