肺がんの膜タンパク質に対する新規血清診断マーカーを開発するために,膜タンパク質を様々なプロテオーム法と組み合わせて同定した.肺癌細胞の膜タンパク質をビオチン化し,回収後,ショットガン解析により同定した.組織型の異なる4つの肺癌細胞株を用いて,免疫ブロット法と免疫染色法により同定されたタンパク質の発現を確認した.また,肺癌患者と健常患者血清を用いたReverse-phase protein array法により血清中のタンパク質レベルを測定した.CD109,CD155とRoundabout Guidance Receptor 1を含む92個の膜タンパク質が同定され,本実験ではCD155タンパク質に着目した.血清中のCD155レベルは健常者に比して肺腺癌および肺扁平上皮癌患者で有意に上昇していた(p<0.0001).Receiver-operating characteristic curve解析を行った結果,Area under the curveは0.87であり,cut off値を0.31に設定した場合,感度と特異度はそれぞれ81%と82%であった.この方法は膜タンパク質に対する新規診断マーカーの獲得に有用であることが示された.