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第68回総会シンポジウムセッション 1:Phos-tag SDS-PAGE が拓くタンパク質リン酸化解析
技術
  • 木村 弥生, 井野 洋子, 平野 久
    61 巻 (2017) 2 号 p. 45-48
    公開日: 2017/11/17
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    リン酸化は最も重要なタンパク質の翻訳後修飾であり,ほとんどすべての細胞内プロセスに影響を及ぼす.Phos-tagは,リン酸基に特異的に結合する機能性分子であり,Phos-tagを活用した技術はリン酸化プロテオミクスにおいて強力なツールとなる.Phos-tagアガロースを使用したクロマトグラフィー法は質量分析のための優れたリン酸化ペプチド濃縮法である.Phos-tagアクリルアミドを使用したPhos-tag SDS-PAGEは,タンパク質をリン酸化状態の違いにより分離することができ,リン酸化フォームに関する様々な情報を得ることができる.しかし,現時点ではPhos-tag SDS-PAGEを用いて複数のタンパク質を一度に分離し,リン酸化フォームを解析することは難しい.この点については,技術のさらなる発展を期待するが,Phos-tag SDS-PAGEは,電気泳動を用いたプロテオミクス研究をさらに促進する可能性がある.

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総合論文
  • 木村 妙子, 久永 眞市
    61 巻 (2017) 2 号 p. 49-52
    公開日: 2017/11/17
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    タウは脳で発現する微小管結合タンパク質であり,また,タウオパチーと呼ばれる神経変性疾患群では高リン酸化(40箇所以上)され,凝集体を形成している.タウのリン酸化については非常に多くの報告があるが,リン酸化の実態は明確ではない.というのは大部分がリン酸化抗体を用いた研究で,定量的リン酸化アイソタイプという概念が欠けている.そのため理解に苦しむような結果も多い.本研究内ではPhos-tag法を用いて多数のリン酸化アイソタイプとして存在する培養細胞タウから病態タウについての解析も行った.培養細胞に強制発現させたタウは10以上のアイソタイプとして存在し,前頭側頭葉型認知症(FTDP-17)のR406W変異タウは特定のリン酸化に影響を与えたこと,脳内では非リン酸化のタウがある程度存在することがわかった.Phos-tag法はリン酸化部位の多いタンパク質の解析にも有用であった.

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  • 小迫 英尊, 茂谷 康
    61 巻 (2017) 2 号 p. 53-57
    公開日: 2017/11/17
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    ヒトにはタンパク質キナーゼが500以上も存在し,それぞれ標的基質をリン酸化することで様々な情報伝達系で中心的な役割を果たしている.キナーゼの遺伝子異常は種々の疾患を引き起こすため,個々のキナーゼの基質を同定してそのリン酸化制御を明らかにすることは,基礎研究のみならず臨床応用の見地からも重要である.近年の各種プロテオミクス技術の進展により,キナーゼ基質を効率的に同定する方法が数多く報告されている.これまでに我々はIMACと2D-DIGEを組み合わせたリン酸化プロテオーム解析法を開発した.そして細胞内で多彩な役割を果たすERKの新規基質を多数同定し,核膜孔複合体のリン酸化による核-細胞質間輸送の制御を明らかにした.現在このIMAC/2D-DIGE法やPhos-tagウェスタンブロット法,及び質量分析計を駆使することにより,パーキンソン病の原因となるPINK1や自己免疫疾患に関わるPKDの基質を同定し,その細胞機能の制御を解析しており,これらの結果についても紹介する.

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  • 山本 林
    61 巻 (2017) 2 号 p. 58-60
    公開日: 2017/11/17
    ジャーナル 認証あり

    出芽酵母オートファジーでは,複数のAtgタンパク質が液胞近傍に集積することでオートファゴソームが形成されるが,この「高次集積」の分子機構は解明されていない.我々は,初期過程を制御するAtg1複合体(Atg1,Atg13,Atg17-Atg29-Atg31二量体)について解析を行い,Atg13の天然変性領域に2つのAtg17結合部位が存在すること,また,いずれもAtg13のリン酸化によって負に制御されることを見出した.興味深いことに,Atg13は2つのAtg17結合部位を持っているものの,これらは同一のAtg17二量体と相互作用するのではなく,異なる2つのAtg17二量体を橋渡しするように相互作用することが明らかとなった.この橋渡しが連続して起こることでAtg1複合体が自己高次集積していくものと考えられる.上記の結果を合わせ,オートファゴソーム形成初期過程の分子機構について紹介したい.

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  • 根本 圭一郎, 澤崎 達也
    61 巻 (2017) 2 号 p. 61-64
    公開日: 2017/11/17
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    細胞内のタンパク質は,リン酸化やユビキチン化,アセチル化など様々な翻訳後修飾により機能制御を受けている.特に,代表的翻訳後修飾のタンパク質のリン酸化は,生命現象の重要な制御機構である.さらに細胞内の非常に多くのタンパク質はリン酸化されていることが分かってきた.我々は自由にタンパク質が合成可能なコムギ無細胞系とAlphaScreen技術を基盤にタンパク質−タンパク質の相互作用を高速・高感度に検出できる方法論の構築を行ってきた.これまでタンパク質のリン酸化はリン酸化部位特異的認識抗体を用いてきたが,近年,広島大学の木下グループにより,リン酸基を特異的に認識できるPhos-tagが開発され,本稿ではAlphaScreen技術とビオチン化Phos-tagを融合した生化学的およびPhos-tagアクリルアミドゲルを活用した細胞生物学的リン酸化タンパク質検出技術について紹介する.

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第68回総会シンポジウムセッション 2:新しい臨床検査と電気泳動の活用法
総説
  • 植田 幸嗣
    61 巻 (2017) 2 号 p. 65-68
    公開日: 2017/11/17
    ジャーナル 認証あり

    エクソソームはあらゆる細胞が産生する微小分泌小胞であり,産生元細胞の分子プロファイルを保持しつつ様々な体液から検出される.例えばある固形腫瘍由来エクソソームを血液や尿から回収,分析することで,生検を行わずとも癌の存在や分子特性を知ることができる.近年我々はanti-CD9 MSIA tip,ExoTrapスピンカラム,EVSecond L70カラムといった高純度エクソソーム精製ツールを作成し,様々なエクソソームプロテオミクス解析を実施してきた.ここではこれら新しいツールと従来法の技術的比較とともに,肺癌早期診断バイオマーカーの開発を行った研究,胃癌患者血清エクソソームからピロリ菌由来病原タンパク質群を検出した研究などを実例として紹介する.我々の研究を含むエクソソームのオミクス解析が急速に進展しており,革新的なエクソソーム診断薬,治療薬,DDSが臨床に実装されることが期待される.

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総合論文
  • 小寺 義男
    61 巻 (2017) 2 号 p. 69-73
    公開日: 2017/11/17
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    血中のnative peptideには,ホルモンやサイトカインといった重要な生理活性因子が含まれており,健康状態や疾患に直接関連した有用な成分の発見が期待されている.しかし,多くの成分が血清アルブミンなどのキャリアタンパク質に結合していることに加えて,酵素消化ペプチドに比べて同定が非常に困難であるため,native peptide の持つ可能性を引き出すに至っていない.こうした中,当研究グループでは,独自に開発した高効率なペプチド抽出法Differential Solubilization法を基盤に,血中native peptideの詳細な分析を目指して研究を進めている.本稿では,2種類の安定同位体標識タグを組み合わせた,未同定のnative peptideにも応用できる疾患関連ペプチドの探索・検証法について紹介する.

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  • 井本 真由美, 山田 俊幸, 上硲 俊法
    61 巻 (2017) 2 号 p. 74-78
    公開日: 2017/11/17
    ジャーナル 認証あり

    血清蛋白分画検査は,血清蛋白異常症のスクリーニング検査として広く用いられており,特に多発性骨髄腫の診断および治療効果の判定に欠かせないM蛋白の検出方法である.血清蛋白分画を院内で実施する最大の意義は,重要な所見を発見し,その病態を把握したうえでいち早く依頼医に報告できることである.当院における取り組みとしては以下のようなものがある.第一に,悪性M蛋白等異常所見を認めた患者においては,検査技師がカルテを閲覧し,検査目的や他の検査所見を参考に,疑われる病態を考察する.第二に特徴的なβ-γブリッジングが認められた時には,IgG4関連疾患を疑う.第三に生化学や免疫学的検査で非特異反応を認めたときに,その原因の一つと考えられるM蛋白の有無の確認をする.第4にクリオグロブリンの型判定にも利用する.このような取り組みにより医師の診断のサポートが行える.

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  • 井本 真由美, 山田 俊幸, 中江 健市, 上硲 俊法
    61 巻 (2017) 2 号 p. 79-83
    公開日: 2017/11/17
    ジャーナル 認証あり

    温度依存性蛋白とは,反応温度により性状が変化する異常蛋白で,主として免疫グロブリンである.特に臨床検査室でよく遭遇するクリオグロブリンは,室温以下で白濁し,37°Cで再溶解する免疫グロブリンであり,免疫化学的検査において異常反応を起こすことがある.臨床的には,原因不明のレイノー現象,紫斑性血管炎,動静脈炎,腎症および原因不明の過粘稠症候群に関連する.クリオグロブリンには3つの型があり,I型:M蛋白からなる,II型:M蛋白とポリクローナル免疫グロブリンの混合型,III型:ポリクローナル免疫グロブリンからなる.II型でも明瞭なM蛋白が観察されない場合や,免疫グロブリン値が基準値内である場合はIII型と同様に異常に気付きにくい.しかしM蛋白の量は微量でも患者に重篤な症状を引き起こすことも確認されている.今回,著者らが遭遇した微量IgM型M蛋白とポリクロ―ナルIgGからなる混合型クリオグロブリン血症の解析例を提示し,臨床検査室からクリオグロブリンの型判定の解析を通して,付加価値のあるコメントを付けることの有用性について考えてみる.

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一般論文
  • 中山ハウリー 亜紀, 大山 健斗, 小野寺 志保, 佐藤 瀬里菜, 斎藤 央将, 飯島 史朗
    61 巻 (2017) 2 号 p. 84-86
    公開日: 2017/11/17
    ジャーナル 認証あり

    SDS-アガロースゲル電気泳動法とアシッドバイオレッド染色を組み合わせた尿タンパク分画法が腎障害部位予測に利用され始めている.本研究では,SDS-アガロースゲル電気泳動法の利用の幅を広げる目的で,同電気泳動法に適した銀染色法と,ウエスタンブロット法へ応用するための検討を行った.SDS-アガロースゲル電気泳動法で分離されたタンパク質は,銀コロイド染色により検出された.バックグラウンド染色の軽減法として,固定液への硫酸亜鉛の添加や,湿潤ろ紙を重層法が有用であり,アシッドバイオレッド染色と比較して~30倍の検出感度となった.さらに,SDS-アガロースゲル電気泳動後のゲルから自然転写法によりタンパク質をPVDF膜に転写することで,ウエスタンブロット法への応用が可能であった.以上の結果は,SDS-アガロースゲル電気泳動法は,基礎研究にも活用できることを示唆する.

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第68回総会シンポジウムセッション 3:電気泳動法を基盤とする多発性骨髄腫の臨床と研究の進歩
総説
  • 安井 寛
    61 巻 (2017) 2 号 p. 87-89
    公開日: 2017/11/17
    ジャーナル 認証あり

    多発性骨髄腫は難治性の形質細胞腫瘍であり,セルロースアセテート膜電気泳動法でM蛋白として検出される単クローン性免疫グロブリンを分泌するなど多様な分子病態を呈する機能性腫瘍である.近年の骨髄腫研究の進歩により,疾病に関わる生体内分子の特定解析が進み,その成果は今世紀に入り顕著となり,診断,治療の進化は予後改善に貢献し,「がん橋渡し研究の一成功例」とされる.本稿では,第68回日本電気泳動学会総会セッション3「電気泳動法を基盤とする多発性骨髄腫の臨床と研究の進歩」の導入として,2016年8月釧路で開催された第67回総会セッション2「蛋白異常を標的とした病態解析と診断治療へのアプローチ」での議論を踏まえて,近年ますます加速する骨髄腫研究の変貌と,臨床と研究とその橋渡しについて概説する.

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  • 麻奥 英毅
    61 巻 (2017) 2 号 p. 90-92
    公開日: 2017/11/17
    ジャーナル 認証あり

    表面抗原解析で骨髄腫細胞の同定が可能になったこと,血清遊離軽鎖の測定が可能になったこと,染色体,遺伝子異常の解明が進んだことの3要因が多発性骨髄腫の診断,モニタリング,リスク分類および効果判定の進歩に繋がった.治療においては多くの分子標的薬が導入され著しい予後の改善が得られているが,新規薬剤が中心の時代においても大量化学療法は有用であり,未熟型の骨髄腫患者に特に効果的である.より深い寛解を得ることが生存率の延長に直接影響するため現在治療の目標は微小残存病変の消失に変わりつつある.いよいよ骨髄腫の治癒への道が開けてきたかもしれない.

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  • 黒田 芳明, 菊池 次郎, 古川 雄祐
    61 巻 (2017) 2 号 p. 93-96
    公開日: 2017/11/17
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    多発性骨髄腫は形質細胞に由来する難治性の造血器腫瘍である.近年,骨髄腫は進展に伴い枝分かれ的に複数種類のクローンが存在することが明らかになってきたが,これらのクローンの違いは遺伝子変異などgeneticなものだけでなく,後天的に獲得された細胞環境因子によるものもあると考えられている.その後天的獲得因子の一つとして細菌感染が骨髄腫増悪に関わっている可能性は,骨髄腫患者の臨床経過から推測可能であり我々の後方視的解析においても細菌感染後に骨髄腫が産生する異常蛋白(M蛋白)が一過性に増加する症例も認められた.そこで我々は細菌感染が骨髄腫細胞の増殖・悪性化に関わる機序を解明すべく基礎研究を行った.結果として,多発性骨髄腫細胞は,骨髄微小環境内においてCD180分子を細胞表面に発現し,細菌感染時にLPSを介したシグナルを受けて増殖能が亢進し,病態の進展に働く機序が示唆された.

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  • 坂井 晃
    61 巻 (2017) 2 号 p. 97-99
    公開日: 2017/11/17
    ジャーナル 認証あり

    多発性骨髄腫(MM)は,成熟Bリンパ球または形質細胞が染色体転座などにより腫瘍化したものと考えられている.しかし,成熟Bリンパ球に染色体転座が生じた程度でその細胞が腫瘍化するとは考え難く,成熟Bリンパ球(または形質細胞)がリプログラミングされた状態(エピジェネティックな変化)で染色体(遺伝子)変化が起こることが骨髄腫細胞の起源と推測する.そこで我々は,リンパ節由来の正常Bリンパ球からiPS細胞(BiPSC)を樹立し,それに活性化誘導シチジンデアミナーゼ(AID)の発現誘導可能なBiPSC-Aも作製した.これらBiPSCsはCD34陽性の造血前駆細胞に分化可能である.今後これらのBiPSCsを用いて骨髄腫モデルマウスを作製したい.

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第68回総会シンポジウムセッション 4:電気泳動によるタンパク質複合体の解析
総説
  • 山野 晃史, 遠藤 斗志也
    61 巻 (2017) 2 号 p. 100-102
    公開日: 2017/11/17
    ジャーナル 認証あり

    ミトコンドリアは2枚の生体膜と1000種類以上のタンパク質から構成される.99%のミトコンドリアタンパク質はサイトゾルで前駆体タンパク質として合成された後,自身に書き込まれたシグナルに従ってミトコンドリアへと輸送される.一方,ミトコンドリアには膜透過装置と呼ばれるタンパク質複合体が存在し,前駆体タンパク質の輸送と仕分けを担っている.膜透過装置の中でも,外膜のTOM40複合体は合計7種類のサブユニットから構成され,ほとんどの前駆体タンパク質の輸送の入り口として機能する.その中心的サブユニットであるTom40はβバレル型構造を有する膜タンパク質であり,膜透過チャネルを形成する.本稿ではTom40がいかにしてTOM40複合体へと成熟していくか,そのアセンブリー過程についてミトコンドリアタンパク質輸送実験系とブルーネイティブ電気泳動を組み合わせたことで明らかとなった結果と方法論について紹介する.

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  • 池田 和博, 堀江 公仁子, 井上 聡
    61 巻 (2017) 2 号 p. 103-106
    公開日: 2017/11/17
    ジャーナル 認証あり

    ミトコンドリアはエネルギー産生を担う重要な細胞内小器官である.ミトコンドリアの機能不全は筋肉の衰弱および中枢神経系の異常を呈するミトコンドリア病をはじめ様々な疾患に関与すると考えられている.最近,ミトコンドリア内膜に存在する呼吸鎖複合体(複合体I~IV)がさらに大きなスーパー複合体を形成していることがブルーネイティブ電気泳動(BN-PAGE)を用いた解析によって明らかにされた.ミトコンドリア呼吸鎖スーパー複合体の形成は,呼吸活性およびエネルギー産生の制御と密接に相関すると考えられている.我々は,COX7RP(COX7A2L/SCAF1)がスーパー複合体形成の促進因子であることを初めて同定し,さらに,マウス生体において骨格筋の運動持続能と褐色脂肪細胞の熱産生に重要な役割を果たすことを示した.このように,BN-PAGEを用いた解析はミトコンドリアのスーパー複合体の機能解析に有用であり,疾患の病因解明に寄与すると考えられる.

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総合論文
  • 寺内 一姫, 大山 克明, 浅井 智広
    61 巻 (2017) 2 号 p. 107-110
    公開日: 2017/11/17
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    ブルーネイティブ電気泳動(BN-PAGE)は,タンパク質複合体の分子量や複合体を構成する分子種を解析する有用な手法として広く用いられる.BN-PAGEでは,色素CBB G-250をタンパク質分子の表面に弱く結合させて全体を負に荷電させる.そのため,タンパク質は高次構造や複合体構造を保持したまま,その分子サイズにしたがって分離される.我々は,シアノバクテリアの時計タンパク質KaiCの概日的なリン酸化リズムを生み出す高次構造の動態解析にBN-PAGEを利用した.BN-PAGEでは,KaiCは2つのバンドとして分離され,KaiCが六量体と単量体という2状態で存在することが示唆されたが,単量体はゲル濾過クロマトグラフィーでは検出されなかった.そこで,BN-PAGEで添加するCBBの効果について解析したところ,KaiCの六量体構造によっては,添加したCBBによって六量体が解離してしまうことが判明した.

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総説
第68回総会シンポジウムセッション 5:電気泳動法を用いた悪性腫瘍の診断や予後予測,治療効果予測への応用
技術
  • 栁田 憲吾, 萩生田 大介, 朽津 有紀, 井上 航, 井川 聡, 龍華 慎一郎, 三枝 信, 長塩 亮, 鉢村 和男, 佐藤 雄一
    61 巻 (2017) 2 号 p. 120-123
    公開日: 2017/11/17
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    肺がんの膜タンパク質に対する新規血清診断マーカーを開発するために,膜タンパク質を様々なプロテオーム法と組み合わせて同定した.肺癌細胞の膜タンパク質をビオチン化し,回収後,ショットガン解析により同定した.組織型の異なる4つの肺癌細胞株を用いて,免疫ブロット法と免疫染色法により同定されたタンパク質の発現を確認した.また,肺癌患者と健常患者血清を用いたReverse-phase protein array法により血清中のタンパク質レベルを測定した.CD109,CD155とRoundabout Guidance Receptor 1を含む92個の膜タンパク質が同定され,本実験ではCD155タンパク質に着目した.血清中のCD155レベルは健常者に比して肺腺癌および肺扁平上皮癌患者で有意に上昇していた(p<0.0001).Receiver-operating characteristic curve解析を行った結果,Area under the curveは0.87であり,cut off値を0.31に設定した場合,感度と特異度はそれぞれ81%と82%であった.この方法は膜タンパク質に対する新規診断マーカーの獲得に有用であることが示された.

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総説
  • 鴨志田 伸吾
    61 巻 (2017) 2 号 p. 124-127
    公開日: 2017/11/17
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    本稿では,がん化学療法におけるコンパニオン診断法としての免疫組織化学(IHC)染色の役割を論じる.IHC染色によってホルモン受容体陽性と判定された乳がんにホルモン療法剤が使用される.HER2阻害剤の適応は,IHC染色によるHER2蛋白過剰発現とFISH法によるHER2遺伝子増幅から評価される.ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんに著明な効果を示すALK阻害剤のコンパニオン診断法としてIHC染色,FISH法などがある.さらに,IHC染色による標的分子発現の評価は,消化管間質腫瘍や血液系悪性腫瘍に対する分子標的薬の適応条件になっている.また,PD-L1のIHC染色は,非小細胞肺がんに対するPD-1阻害剤投与の判断に利用されている.SLCトランスポーターのIHC染色による殺細胞性抗がん剤効果予測の可能性やIHC染色とwestern blot法の違いについても述べる.

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  • 佐藤 雄一, 長塩 亮, 柳田 憲吾, 萩生田 大介, 朽津 有紀, 井上 航
    61 巻 (2017) 2 号 p. 128-131
    公開日: 2017/11/17
    ジャーナル 認証あり

    我々は肺癌組織や細胞,そして患者血清を用い,ランダム免疫法を用いた単クローン性抗体の作製,二次元電気泳動法を用いた解析,そして自己抗体解析など,様々なプロテオミクス手法を駆使して肺癌の組織や血清診断マーカー候補タンパク質の獲得を目指した研究を行ってきた.一方,II–IIIA期の非小細胞性肺癌患者では腫瘍の完全切除後にプラチナ製剤を用いた補助化学療法を行うことが世界的な標準治療法となっている.しかし,その効果は未だ十分とは言えない.現在,この治療法が有効か否かの事前の個別検査は行われていない.今回,我々がこれまで獲得してきた肺癌マーカーについて,術後補助化学療法の効果予測マーカーとしての有用性を検討した.この総説では,nestin,S100A16,myosin-9を中心にその有用性について述べる.さらに,新規の術後補助化学療法の効果予測マーカー獲得の現状についても述べたい.

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一般論文
  • 菊田 一貴, 窪田 大介, 吉田 朗彦, 森岡 秀夫, 中村 雅也, 松本 守雄, 中馬 広一, 川井 章, 近藤 格
    61 巻 (2017) 2 号 p. 132-136
    公開日: 2017/11/17
    ジャーナル 認証あり

    浸潤性軟部肉腫の代表である粘液線維肉腫はその浸潤性性格による外科的切除後の高い再発率が臨床上の問題である.そのため,粘液線維肉腫患者の治療成績向上には浸潤性に関わるバイオマーカー開発が必須である.本研究では11例の粘液線維肉腫を対象に蛍光二次元電気泳動法を用いたプロテオミクス解析で,粘液線維肉腫浸潤性予測バイオマーカー候補としてDCBLD2を見出し免疫組織化学的解析により,その有用性を検証した.今後,症例数を増やしてさらなる検証実験をおこなうことで,浸潤性予測バイオマーカーとしての臨床応用が期待される.

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総説
  • 近藤 格
    61 巻 (2017) 2 号 p. 137-140
    公開日: 2017/11/17
    ジャーナル 認証あり

    希少がんとは,10万人あたり年間発生数が6例以下の悪性腫瘍と定義されている.個々の希少ながんの患者数は少ないが,200種類ほどの悪性腫瘍が希少がんに分類されるので,全体としては新規に診断されるがん患者の約20%が希少がんを患っている.とは言え,個々の希少ながんの症例数は少なく,臨床試験はとりわけ難しい.バイオマーカーによって症例を層別化することが必要である.我々は,典型的な希少がんである肉腫の新規治療のための医療シーズを見つけるために,患者由来がんモデルを作製して抗がん剤の増殖抑制効果をスクリーニングしている.現在までに,きわめて低濃度で肉腫細胞に抗腫瘍効果を示す抗がん剤をいくつも同定した.並行してプロテオーム解析を用いて薬効効果を予測するバイオマーカーをみつけている.患者由来がんモデルやプロテオーム解析の活用は,希少がんの新しい治療法の開発においてたいへん有用なアプローチである.

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第68回総会シンポジウムセッション 6:MALDI biotyping の新展開
総合論文
  • 曽川 一幸, 林 加織, 村田 正太, 古畑 勝則, 野村 文夫
    61 巻 (2017) 2 号 p. 141-144
    公開日: 2017/11/17
    ジャーナル 認証あり

    近年,高い迅速性と正確性を有し,しかも低コストの細菌同定手法として,質量分析計が注目されている.2011年に医療機器として認定され,日本国内に約150ヶ所の病院・検査センターの細菌検査室で細菌同定のツールとして運用されている.従来細菌の同定には,主に形態学的手法(グラム染色,コロニーの形状やその大きさ)や生化学的手法が用いられている.しかしながらいずれの手法も煩雑な作業であり高い専門性が要求される.高い識別能力がある16S rRNAを指標とする手法は,多くの検体を一度に解析することが難しく,日常的に用いることは困難でありコストがかかる.質量分析計による細菌同定はサンプル調整が容易で,測定操作も簡便であり,一菌種約5分で同定結果が得られる.この特徴を活かして,煩雑な試料前処理を行わず,属や種を容易に識別することのできる手法として注目されている.

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総説
  • 青山 冬樹
    61 巻 (2017) 2 号 p. 145-148
    公開日: 2017/11/17
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    近年,新しい迅速微生物同定の手法としてMALDI-TOF MS(マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析)を用いた方法が使われ始めている.菌体より簡単な抽出を行い測定し,検出される質量電荷比のスペクトルをフィンガープリントとして比較し同定する手法である.本方法の大きな利点として操作が非常に簡便で,特殊な技能がいらず,迅速性が高いため,同定結果を得るまでに10–20分程度しか要しないため,近年では食品・飲料製造会社には導入が進んでいる.清涼飲料水の製造において管理の必要な耐熱性好酸性芽胞形成細菌Alicyclobacillus属,高温性嫌気性芽胞細菌のMoorella属やThermoanaerobacter属などに関して公定機関から購入した菌株や,野生株を用いてデータベースを構築した.作成したデータベースを用いることによりこれら細菌が種レベルで迅速に同定が可能となることが分かった.得られる同定結果は従来の一般的な同定手法である16S rDNA解析と同程度の精度があり,非常に有用な手法であると考えられた.

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  • 森田 華子, 林元 展人
    61 巻 (2017) 2 号 p. 149-151
    公開日: 2017/11/17
    ジャーナル 認証あり

    実験動物の微生物モニタリング検査は,実験動物の微生物学的な品質を保証する唯一の方法である.当センター(公益財団法人実験動物中央研究所ICLASモニタリングセンター)は,この微生物モニタリング検査における迅速な細菌同定法として,MALDI-TOF MSを用いた微生物同定装置MALDI Biotyper(Bruker Daltonics社)を2013年に導入した.しかし,実験動物における病原細菌の同定については既存のデータベースでは不十分であるため,新たにデータベースの拡充を行った.また,実験動物由来検体の迅速同定に加え,実験動物由来以外の菌種同定の要望に広く応えるべく,MALDI Biotyperを用いた微生物同定の受託検査を開始した.本稿では,実験動物のモニタリング検査での課題とMALDI-TOF MSを用いた微生物同定の受託検査の現状について述べる.

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技術
  • 松山 由美子
    61 巻 (2017) 2 号 p. 152-154
    公開日: 2017/11/17
    ジャーナル 認証あり

    近年,微生物の新しい同定法として質量分析装置を用いた技術が大きな注目を集めており,世界でも臨床検査をはじめ様々な分野で約2300システム(MALDIバイオタイパー:ブルカー社)が導入されている.本手法は迅速に,かつ遺伝子解析による同定結果とほぼ同等の信頼性が得られるということから,臨床微生物検査における“革新的な技術”と言われている.MALDI-TOF MSが微生物同定システムであるということが広く認知された今,この分野において最も必要とされているのが薬剤耐性検出やタイピングへの応用であるが,現状耐性遺伝子の検出や分子疫学的解析として遺伝子検査が主に利用されている.本稿ではこれらのアプリケーションに質量分析の技術がどう生かされるのか,最新情報と今後の可能性を示す.

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総合論文
  • 梶原 英之
    61 巻 (2017) 2 号 p. 155-158
    公開日: 2017/11/17
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    植物病原菌,植物ウイルス,あるいはハダニ等の微小害虫による植物病の診断はDNA解析等による方法も導入されつつあるが,もっぱら目視によるものがほとんどである.これらの手法は時間がかかり,専門家でなければできない.ヒト感染症の診断にマトリックス支援飛行時間型質量分析装置(MALDI-TOF MS)が導入されつつある.迅速・安価な植物病の診断と防疫防除を目的として,このMALDI biotyping法を農業分野への導入を試みた.病兆を示す部位から得た粗抽出液を直接分析することによって,寒天培養等の操作を経なくても植物病原菌を検出することができた.ハダニ以外の微小害虫も特有の質量スペクトルを示し,種の判別ができた.タバコモザイクウイルスについては,ポリエチレングリコールを使って部分精製すればそのコートタンパク質を検出することができた.本法の農業分野での応用が期待された.

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