2017 年 61 巻 2 号 p. 90-92
表面抗原解析で骨髄腫細胞の同定が可能になったこと,血清遊離軽鎖の測定が可能になったこと,染色体,遺伝子異常の解明が進んだことの3要因が多発性骨髄腫の診断,モニタリング,リスク分類および効果判定の進歩に繋がった.治療においては多くの分子標的薬が導入され著しい予後の改善が得られているが,新規薬剤が中心の時代においても大量化学療法は有用であり,未熟型の骨髄腫患者に特に効果的である.より深い寛解を得ることが生存率の延長に直接影響するため現在治療の目標は微小残存病変の消失に変わりつつある.いよいよ骨髄腫の治癒への道が開けてきたかもしれない.