2022 年 66 巻 1 号 p. 53-57
細胞内のタンパク質成分を,質量分析を用いて酵素分解をおこなわずにそのまま解析するトップダウンプロテオミクスは,生体内プロテオフォームの全体像を明らかにするための強力な分析アプローチとして注目されている.トップダウンプロテオミクスで検出されるプロテオフォーム数を増やすためには,質量分析前の高分解能なプロテオーム分画処理が重要であり,近年では試料前分画ツールとしてポリアクリルアミドゲル電気泳動への関心が高まっている. 本稿では,ポリアクリルアミドゲル電気泳動後に高効率なタンパク質抽出を可能にするゲルベースのプロテオーム分画ワークフローと,トップダウンプロテオミクスのためのサンプル前分画におけるその利用例について解説する.