2025 年 69 巻 2 号 p. 35-39
SWATHは2011年に登場したDIA(データ非依存型取得)技術で,全プレカーサーイオン領域を対象にMS/MSデータを取得することにより,多数のタンパク質や代謝物を高精度かつ網羅的に解析できる手法である.その後,Zeno trap技術を組み込んだZeno SWATH DIAにより,MS/MSの感度が飛躍的に向上し,信頼性の高い定量・同定を可能にした.さらに,ZT Scan DIAはZeno trapによる高感度化に加え,四重極スキャンによるQ1次元の選択性を統合することで,特異性と定量精度を向上させた次世代DIA手法である.高速スキャンによってクロマトグラフィー時間を短縮し,深い解析を維持できるため,ハイスループットが求められる臨床研究や精密医療において強力なアプローチとなる.