2025 年 69 巻 2 号 p. 31-34
脂質のアシル鎖中に存在する炭素間二重結合(C=C)位置の違いは細胞機能や疾患と関係が深く,詳細な構造解析が求められる.既存の低エネルギー衝突誘起解離法(CID)ではC=C位置の同定が困難なため,我々は原子状酸素およびヒドロキシルラジカルを用いた新規イオン解離法「Oxygen Attachment Dissociation(OAD)」を開発した.本手法はQ-TOF型質量分析計に搭載可能であり,インタクト脂質に対するC=C位置特異的な高感度・高選択的解析を実現する.さらにCIDとの併用によりアシル鎖構成の同定も同時に行い,脂質異性体の定性・定量解析に有用であることを示した.