抄録
封入体筋炎は50代以降の中高年に好発する慢性進行性の筋疾患であり,根治的治療法は確立されていない.封入体筋炎において40%の頻度で発生する嚥下障害は,輪状咽頭筋の変性と線維化による食道入口部の開大不全が主な病態であり,嚥下造影検査において母指圧痕像を呈することが特徴である.病勢の強い症例では,喉頭挙上の悪化や咽頭収縮力の低下などが加わり,治療が長期間に及び難渋することもある.今回我々は,封入体筋炎による嚥下障害に対して輪状咽頭筋切断術ならびに喉頭挙上術を行い,術後のバルーン引き抜き訓練を併用することで,食事摂取レベルを比較的短期間で改善しえた1例を経験したので報告する.