抄録
本研究では,児童が自身の感情を相手に伝えるメッセージを作り,そのメッセージがどのような感情を伝えたかったのか,テキスト感情認識 AI システム(以下,AI)の判定結果と,友達の判定結果の差を示し,児童 と AI の判定の差に気づかせる学習活動を行った.その結果,断りの場面では「喜び」と「怒り」,借用場面では「喜び」と「恐れ」について児童の認識が AI の認識よりも高かった.また児童は,断るときにも,また誘って欲しいと述べた上で断わることが相手に好意的な影響を与えると捉えていた.さらに友達に本を貸してと頼む場面では,共同使用したい意思を伝えることが好意的な感情に影響を与えると捉えていた.加えて,児童は自分が書いたメッセージを受け手がどのように解釈するかが不安な時,AI を使いたくなることが分かった.