本研究の目的は,協働的な学びの場面においてスライド作成アプリを用いて情報共有する支援の有用性を明らかにすることである.中学校理科第2学年のエネルギー分野「電流とエネルギー」において,スライド作成アプリを用いて情報共有を行う実験群と,従来の指導通りにワークシートを用いて情報共有を行う統制群に分けて,支援の有用性を検討した.結果,1)授業のねらいの達成状況に関して,学習課題に対する記述内容についてA基準の生徒数に有意差が認められたこと,2)情報共有の影響に関する自己意識に関して,実験群の記述から作成するプロペラの特徴に関する語や他の班の異なる意見を取り入れ作成するプロペラに生かそうとする語の係り受けが複数確認できたこと,3)授業に関する主観評価に関して,有意差が認められた複数の項目について,情報共有の方法による差が反映された結果であると考えられることが示された.これらの結果から協働的な学びの場面においてスライド作成アプリを用いて情報共有する支援は有用であると判断できた.