抄録
本研究では,沖縄県A市の子ども食堂に通い,経済的支援を要する児童生徒に対して,沖縄県に在住する大学生が対面で教育支援を行い,かつ都内の大学生がオンラインによる遠隔で教育支援を行った.そして,両大学生の児童生徒に対する認識の差異を分析した.具体的には,質問紙調査の回答結果を,対面と遠隔の差異をt検定(対応なし)で分析した.その結果,遠隔支援を行った大学生は,児童生徒のニーズを理解することの難しさを感じていることが分かった.さらに,「教育支援のイメージ」,「支援対象となる児童生徒のイメージ」,「支援対象となる児童生徒への対応」の3つ視点に着目し,それぞれのイメージについての自由記述をKH Coder 3による対応分析で教育支援の事前と事後の時点における対面と遠隔の大学生の差異を明らかにした.その結果,対面・遠隔で支援を行った大学生のどちらも,事前では,支援者それぞれの経験やそれまでの学習が反映された教育支援や支援対象となる児童生徒のイメージ,それらに対する対応が考えられていた.一方,事後では支援対象となる児童生徒の実態をもとにした個々人の特性を踏まえた教育支援や支援対象となる児童生徒のイメージ、それらへの対応を思案するようになったことが明らかになった.