日本生態学会大会講演要旨集
第51回日本生態学会大会 釧路大会
セッションID: P2-165c
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特異的な植物群落 ゴマギ-ハンノキ群集の分布状況と立地特性
*郡 麻里
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抄録
関東平野の河畔林を特徴づけるゴマギ_-_ハンノキ群集は、ムクノキ_-_エノキ群団に属すると言われ、草本層にチョウジソウやフジバカマ、ノウルシといった氾濫原特有の植物種が生育するとともに、ミドリシジミやオオムラサキなどの希少な生き物も生息する、貴重な植物群落である。しかし、このような河畔林の成立する立地は、もともと水田等に開発されやすく、現在では、主な定着場所と考えられる河川敷についてもその殆どがゴルフ場やグラウンド等に改変されているなど、その分布はますます限られたものとなっている。このような、生物の生息基盤である希少な植物群落の保全や再生を検討する際、どのような視点による対策が必要か、どのように情報を整理すればよいかについて、主に利根川水系をモデルとして検証を行った。
まず、新たな群落の成立する可能性のある「潜在立地」を抽出するために、環境省の自然環境保全基礎調査・植生調査の報告書等からムクノキ_-_エノキ群団に随伴する全ての植生タイプの凡例をリストアップし、大まかな空間分布図を作成した。次に、既存の現存群落の生育環境について現地調査及び文献をもとに類型区分を行い、地質図等既存電子データを用いて河川後背低地など、最も成立条件に適したエリアをオーバーレイ表示した。一方、著しく分断化した植物群落からは鳥散布等による健全な種子の到達が制限されることから、「潜在立地」としての新たな定着サイトは、現在の供給源から半径1kmのバッファの範囲内に限定されると仮定し、該当するエリアを抽出した。さらに、たとえ洪水散布等により種子が供給されたとしても、定着先の河川敷が大きく改変されていては新たに定着できないことから、DEMから発生させたコンタ_-_用いて洪水の到達する範囲を空間的に抽出し、「潜在立地」と組み合わせることにより河畔林の「再生候補地」とした。最後に、実際に現場調査を行うことにより群落の分布予測パラメータを検証し、予測の一致した場所については新たな種子供給源として機能するかについても診断した。
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© 2004 日本生態学会
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