2007 年 1 巻 2 号 p. 2_21-2_25
乳幼児は様々な状況下で泣き声を発するが,泣き声の音響上の特徴及び,各状況下において泣き声の定量的性質がどのように違うかを明らかにする研究が,種々行われてきた.本解説では,これらについて紹介する.このような研究には,単に,泣き声の定量的性質や,各状況下での統計的性質の違いを明らかにするものから,その啼泣原因を推定するルールベースシステムを提案するものまでが存在する.また,月齢によってもその定量的性質に違いがあり,新生児のみ対象とした研究や,月齢2 か月~ 6 か月,あるいは月齢12 か月までの高月齢児を対象とした研究がなされている.定量的性質としては,その周波数分布に着目するものが多いが,他に,泣き声の持続時間やその間隔に着目して乳児の状態を分類しようとする方法も提案されている.