電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review
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SIS研究会提案
良好な音環境の保全をめざす音波の複雑さ解析
眞壁 義明
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2021 年 15 巻 2 号 p. 111-120

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抄録

音環境を保全する取り組みの一つに騒音レベルによる規制がある.騒音レベルは音の大きさを聴覚の特性に基づいて重み付けした感覚量であるが音の高さや音色の評価はできない.生活の質を向上する動きが活発化する中で,音環境をより一層良いものへ進化させる活動も今後ますます高くなる.そのため環境音の評価においては音の高さや音色も重要な要素になる.周波数解析ではスペクトルによりこれらの特徴を捉えることができるが代表できる指標はなく,騒音レベルのように数値化して評価することはできない.筆者らは音の高さと音色を波形の複雑さとして捉える提案をしており,複雑さを自己相似性の強弱で測ることで,その評価にフラクタル次元をそのまま使うことができる点を活用している.波形におけるフラクタル次元は一つの実数で表現できることから騒音レベルと同様に数値による評価が可能である.これまでの研究では聴覚で複雑さを識別できることを報告している.また飛行場や鉄道沿線といった地域性によりフラクタル次元が異なることも分かっている.本論文は我々が研究対象としている音環境について騒音規制法の概要やその運用などを紹介し,波形の複雑さに着目した背景やフラクタル次元による複雑さの評価方法,解析事例,将来に対する展望などを述べる.

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