電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review
Online ISSN : 1882-0875
ISSN-L : 1882-0875
15 巻, 2 号
選択された号の論文の23件中1~23を表示しています
表紙
目次
ごあいさつ
技術の原点
幹事団提案
  • 神野 健哉
    2021 年 15 巻 2 号 p. 70-79
    発行日: 2021/10/01
    公開日: 2021/10/01
    ジャーナル フリー

    粒子群最適化法(PSO)は目的関数の情報が明示的に与えられていないブラックボックス最適化問題の最も効果的な解法の一つである.PSOは多数の粒子が互いに有するパラメータの良解位置情報を共有しながら最適解を探索する.このように多数の探索個体が協力して最適解を探索する手法は群知能最適化と呼ばれる.群知能最適化では,「探索(exploration)」と「活用(exploitation)」とのバランスが重要である.しかし,PSOでは,各パラメータがどの程度探索と活用に影響を与えるかの詳細が不明である.そこで,我々は確率的な要素を排除した決定論的PSOを提案し,このPSOのダイナミクスを力学系理論を用いて解析した.決定論的PSOの各粒子は,その固有値によって動きが決定される.この動きを明確にするために,正則化された位相空間上で探索を行う正準系決定論的PSOを提案し,その動作の解析を行っている.これらの分析の結果,探索と開拓のためのパラメータ,すなわちグローバルな探索能力とローカルな探索能力に何が帰属するのかを明らかにする.この結果に基づき,我々は局所探索能力を向上させた非線形マップ最適化(NMO)を提案している.本稿では,これまでの研究の背景を概説し,非線形マップ最適化の解探索能力について考察する.

解説論文
BioX研究会提案
HWS研究会提案
  • 吉田 康太, 藤野 毅
    2021 年 15 巻 2 号 p. 88-100
    発行日: 2021/10/01
    公開日: 2021/10/01
    ジャーナル フリー

    深層ニューラルネットワーク(DNNs)などの機械学習技術(以降AI技術と呼ぶ)は,画像認識をはじめとする様々なタスクにおいて非常に高い性能を発揮しており,本技術の社会実装が今後更に加速することが予想される.自動運転車や監視カメラなど,安全やセキュリティに関わる分野にAI技術を導入するためには,誤動作の誘発・プライバシー情報の窃取などを目的としたAIに対する攻撃手法に対するセキュリティ対策が重要になる.また,学習済みAIモデルは重要な知的財産であるため,これを保護する手法も実装しなければならない.一方で,監視カメラや自動運転システムのようなプライバシー保護・リアルタイム性が要求されるアプリケーションでは,推論処理を組み込み機器(以降エッジAIと呼ぶ)で実行する必要がある.このようなケースでは攻撃者がエッジAIへ物理的にアクセスできるシナリオも考慮したセキュリティの確保が求められ,エッジAIのハードウェアセキュリティという研究分野が2017年頃から注目されている.本稿では,AI特有のセキュリティ課題及びエッジAIのハードウェアセキュリティについて,脅威を整理し,更に近年の研究動向や対策技術を紹介する.

WBS研究会提案
  • 藤井 雅弘
    2021 年 15 巻 2 号 p. 101-110
    発行日: 2021/10/01
    公開日: 2021/10/01
    ジャーナル フリー

    一般的な変調方式では,直交変調を基盤とするため,I-Q平面をなす二次元ユークリッド空間上でシンボル設計が行われる.この代表的な変調方式はPSK (Phase Shift Keying)やQAM (Quadrature Amplitude Modulation)であり,これらは平均信号電力一定の条件の下で,最小シンボル点間距離を最大となるようにシンボル設計が行われている.本稿では,一般にK次元ユークリッド空間に拡張したシンボル設計手法について解説する.特に,K次元ユークリッド空間上のK-1次元超球面上でKビット伝送するための三種の設計規範について述べる.この中のCrushed Twisted Cubes設計では最小シンボル点間距離をQPSK (Quadrature PSK)より長くすることが可能であり,同一の誤り率特性を達成するための所要Eb/N0を削減することが可能である.更に,この超球面変調を無線伝送システムに適用した場合の可能性について述べる.

SIS研究会提案
  • 眞壁 義明
    2021 年 15 巻 2 号 p. 111-120
    発行日: 2021/10/01
    公開日: 2021/10/01
    ジャーナル フリー

    音環境を保全する取り組みの一つに騒音レベルによる規制がある.騒音レベルは音の大きさを聴覚の特性に基づいて重み付けした感覚量であるが音の高さや音色の評価はできない.生活の質を向上する動きが活発化する中で,音環境をより一層良いものへ進化させる活動も今後ますます高くなる.そのため環境音の評価においては音の高さや音色も重要な要素になる.周波数解析ではスペクトルによりこれらの特徴を捉えることができるが代表できる指標はなく,騒音レベルのように数値化して評価することはできない.筆者らは音の高さと音色を波形の複雑さとして捉える提案をしており,複雑さを自己相似性の強弱で測ることで,その評価にフラクタル次元をそのまま使うことができる点を活用している.波形におけるフラクタル次元は一つの実数で表現できることから騒音レベルと同様に数値による評価が可能である.これまでの研究では聴覚で複雑さを識別できることを報告している.また飛行場や鉄道沿線といった地域性によりフラクタル次元が異なることも分かっている.本論文は我々が研究対象としている音環境について騒音規制法の概要やその運用などを紹介し,波形の複雑さに着目した背景やフラクタル次元による複雑さの評価方法,解析事例,将来に対する展望などを述べる.

WBS研究会提案
その他
ESSニュース
研究会へ行こう!
国際会議開催報告
受賞者の声
論文募集
委員会・編集後記
feedback
Top