2025 年 19 巻 2 号 p. 60-69
IoT(Internet of Things)システムの無線通信インフラとして期待されている技術が,Sub-GHz帯(我が国では920 MHz帯)を用いるLPWAN(Low Power Wide Area Network)である.著者らはこれまでに,Sub-GHz帯LPWANの特性改善を目的として,キャリアセンス期間中の平均電力を用いる電力検出キャリアセンスの特性を理論的・実験的の両面から性能評価・解析してきた.その結果,ノイズフロア以下の受信信号についても検出可能であり,従来用いられていたキャリアセンス期間中のピーク電力を用いるピーク検出キャリアセンスと比較してLPWANの特性を大きく改善できることを示してきた.本稿では,著者らによるこれまでの解析結果を元に,電力検出キャリアセンスの特性やこれを用いたSub-GHz帯LPWANの特性,誤警報確率などの信号検出パラメータが電力検出キャリアセンスに与える影響など解説する.