Experimental Animals
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クマネズミとラットにおける血液凝固時の血小板からの酵素遊出に関する比較検討
江守 利博高橋 正一長瀬 すみ吉田 俊秀
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1979 年 28 巻 4 号 p. 531-535

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抄録

ラットの血清中の乳酸脱水素酵素 (LDH) 活性値は血液凝固の経過にともない顕著に上昇し, その原因として血小板からの酵素の遊出が前報において指摘された。今回同じRattus属に属するクマネズミについて検討したところ, 次の結論を得た。
1) クマネズミでは血清LDH活性のこのような上昇は極めて少なく, 他の酵素活性 (クレアチンキナーゼ) についても同じ傾向が示された。2) 両動物におけるこのような差を血小板からの酵素の遊出過程における差と考え, 両者の血液組成および血液凝固に関するいくつかの生理値を比較したところ, 血小板数および血小板あたりの酵素活性などには差が認められなかったが, 血しょうのフィブリノーゲン量がクマネズミで1.5倍多かった。3) 両者の血小板の膜を構成する蛋白質をSDS-ポリアクリルアミド電気泳動で比較したところ, 血小板の血液凝固能に最も関係するとされている糖蛋白パターンに両種の間で相違が認められた。

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© 社団法人日本実験動物学会
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