抄録
病原微生物や寄生虫の侵入を可能な限り防御した厳重な隔離方式施設 (Barrier System) の飼育条件下で3ケ月齢の初産SPF Wistar-Imamichi Rat 6, 142腹を用い産仔数と着床痕数, 妊娠黄体数を観察, 記録した。この成績を既報 [10] のコンベンショナル条件下で得たものと比較し, Barrier Systemが受精卵の着床前の損失および着床後の胚・胎仔の損失率に及ぼす効果について検討した。その結果1) SPFラットの産仔数は6, 142腹の平均が12.4±0.04匹であり, 最少1より最大20匹にわたって分布した。又SPFラットとコンベンショナルラットの成績を比較すると平均産仔数において前者の方が後者 (11.0±0.04) に比べて有意に多かった (P<0.001) 。2) 妊娠黄体数は各産仔数間でほとんど差異が見られなかったが, コンベンショナルラットとの比較ではSPFラットの方が多かった。3) 着床後の損失 (着床痕数―産仔数) は産仔数5~6匹群から11~12匹群まで2.2~2.7個と一定した低い値を示し, さらに低産仔数群と高産仔数群がそれより少なく約1個の値を示した。又コンベンショナルラットに比べて10匹以下の産仔数群で著しく減少した。
以上の成績から, 病原体の汚染防止および一般環境の統御下に育成されたSPFラットにおいては, 産仔数の増加が認められ, その主要因は排卵数そのものの増加と着床後の胚・胎仔の損失の減少によることが明になった。