抄録
本研究では沖縄県読谷村の伝統工芸「読谷山花織」の復興を取り上げ, 担い手の住居移動と就業経歴, 社会活動等のライフコースを分析し, 世代別の変化を通して, 新しい伝統工芸が地域社会に適応していく過程を明らかにした。1964年, 行政主体で始まった花織の復興は, 婦人会を母体として普及した。内職的要素の強い花織の生産は, 就業を制約する家庭内労働等との両立を可能にすることで, 読谷村の婦人に新たな就業機会を与えた。また花織は世代を超えた職縁ネットワークを形成し新住民の地域定着化を促進した。ライフコースの違いから, 各世代により伝統工芸に対して求める意味も変化する中で, 花織自体も地域社会内での存在価値を変化させたことが明らかになった。