1990 年 39 巻 3 号 p. 361-369
アカゲザルをモンキーチェアに反復拘束する過程で各種生理値がどのように変化するかを観察し, モンキーチェア拘束に対する馴化過程について検討した。その結果, 心拍数, 血圧は拘束当初有意に増加したが, 拘束開始後の時間経過ならびに反復拘束に伴って漸次減少した。そして, 1日当り8時間の拘束を5日間繰り返し, その後9日間通常ケージ内で飼育し, 次いで再び, 前と同じ拘束条件を負荷したところ, 最終的にモンキーチェア拘束下にもかかわらず無拘束条件下とほとんど変わらない値を示すようになった。血漿コルチゾール, CK, GOT値についてもほぼ同様の成績が得られた。これら拘束当初の生理値の上昇は, 交感神経緊張状態と拘束から逃れようとする全身運動が反映された結果とみられる。また, 反復拘束により生理値が正常域に復したことから, 今回設定した反復拘束条件はアカゲザルをモンキーチェアに馴化させるのに有効であると判断された。