抄録
Corynebacterium kutscheri (CK) の不顕性感染動物を高率に摘発する目的で, ハートインフュージョン寒天培地にフラゾリドン, ナリジキシン酸およびコリマイシンを添加した選択培地を作製し, FNC培地と命名した。この培地は, マウス, ラット由来のプロテウス, 緑膿菌およびその他のグラム陰性桿菌ならびにグラム陽性球菌の発育を抑制したが, CKの発育には影響を与えなかった。マウスとラットの口腔および盲腸内容物をFNC培地で培養することにより, CK自然感染動物の検索を行ったところ, コンベンショナルマウス6コロニーのうち2コロニーと, ラット8コロニー中3コロニーにCKの感染が確認され, 合計19匹のマウスと12匹のラットからCKが分離された。しかし, これらのCK陽性動物ではいずれも臨床症状や病変はみられなかった。また, CK菌液を実験的に経口投与したマウスおよびラットについてFNC培地を用いて種々の部位より菌分離を試みたところ, 感染20週までCKが分離された。最も高い分離率を示した部位は, マウスでは口腔, ラットでは顎下リンパ節と口腔であり, 半数以上の動物では盲腸からも本菌が分離された。自然感染および実験感染例におけるこれらの結果から, マウスとラットでは, FNC培地を使用して口腔および盲腸内容物を培養することにより, CK不顕性感染動物を効率良く摘発できることが示唆された。