抄録
福岡県のブランド牛「博多和牛」の枝肉脂肪酸組成の実態を解明するために去勢514頭と雌89頭の枝肉筋間脂肪の脂肪酸組成を分析した。去勢に比べて雌はオレイン酸と一価不飽和脂肪酸(MUFA)の割合が有意に多かった。出荷時期では去勢において10~11月のMUFAの割合が3~5月よりも有意に多かった。また,出荷月齢では去勢,雌ともオレイン酸とMUFAの割合に月齢の違いによる有意差は認められなかった。血中脂肪酸組成との関係は,枝肉オレイン酸,MUFAと血中パルミチン酸,オレイン酸との間に正の相関関係が認められた。一方,枝肉オレイン酸とMUFAは血中リノール酸と負の相関関係を示した。本研究により「博多和牛」の枝肉脂肪酸組成の実態および出荷月齢や出荷時期が枝肉脂肪酸組成に及ぼす影響が明らかとなった。また,枝肉脂肪酸組成と血液脂肪酸組成との間には一定の相関関係があることが明らかとなった。