福岡県農林業総合試験場研究報告
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日照時間,遮光および環状剥皮処理部位がカキ「秋王」の生理的落果に及ぼす影響
竹村 智佳 朝隈 英昭
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2023 年 9 巻 p. 27-32

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抄録
「秋王」は,九倍体無核性完全甘ガキ品種で,大果,高糖度で食味が優れており,産地への導入が進んでいる。しかし,無核であることや単為結果力が弱いことから,生理的落果の発生が多く,結実が安定しないことが課題であった。そこで,本研究では「秋王」の生理的落果の要因解明のため,日照時間および遮光処理が生理的落果に及ぼす影響について検討した。その結果,満開から満開70日後までの連続する 3日間の積算日照時間が 1時間以下の回数が 2回以上になると着果率が25%以下と低くなり,50%の遮光条件下における着果率は対照区と比べて有意に低かった。連続する 3日間の積算日照時間の低下や遮光による光合成有効光量子束密度(PPFD)の低下は,「秋王」の生理的落果の要因であることが明らかとなった。つぎに,安定した落果防止技術の確立を図るために,環状剥皮処理部位と生理的落果との関係を調査した。同一樹内の異なる部位に剥皮処理した結果,剥皮部の枝の周囲長が短いほど着果率が高いことが明らかとなった。 以上のことから,「秋王」の生理的落果は,日照時間やPPFDの低下により同化産物の生成量が低下し,果実と枝幹での養分競合により果実への同化産物の供給不足が要因であることが示唆され,環状剥皮をより果実に近い枝に処理することにより,枝幹との養分競合を回避し,生理的落果を抑制できることが明らかとなった。
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