日本地球化学会年会要旨集
2021年度日本地球化学会第68回年会講演要旨集
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G06 宇宙化学:ダストから惑星、生命へ
エンスタタイトエコンドライト(オーブライト)の宇宙線照射環境
*岩成 隆生日高 洋米田 成一
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p. 84-

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抄録

エンスタタイトエコンドライト(オーブライト)は、石質隕石としては長い宇宙線照射年代(20~120 Ma)を保持しており、この要因として、母天体において表面近傍に位置していたことによる宇宙線照射履歴の反映とする説や、母天体形成前に原始太陽から激しい照射を受けた成分を取り込んでいるとする説(Marti, 1969)などがある。本研究では、宇宙線照射に伴って生じる中性子捕獲反応によって変動する可能性があるSm、GdおよびErの同位体組成と、オーブライトに含まれる微小鉱物オルダマイト(CaS)に着目し、オーブライトの宇宙線照射環境について考察する。本研究で分析したすべての試料において中性子捕獲反応による149Sm-150Sm間の同位体変動が確認できた。同一試料においても溶出フラクションごとにSm同位体変動の度合いが異なっていることから、オーブライトには母天体形成前に過剰な宇宙線照射を経験した成分が含まれていると考えられる。

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