ファルマシア
Online ISSN : 2189-7026
Print ISSN : 0014-8601
ISSN-L : 0014-8601
トピックス
細胞内Cl環境と疾患:新規治療薬の開発と治療戦略
南雲 康行
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 50 巻 11 号 p. 1146

詳細
抄録
神経細胞の正常な機能発現には,神経細胞内外におけるClの適切な濃度勾配形成と維持が不可欠となる.正常な神経細胞内のClは,細胞外よりも低濃度に維持され,この状態が正常に保たれることで,GABAやグリシンによる細胞内へのCl流入の適切な方向付けと即時的な強い抑制作用を発揮する.成熟神経細胞における細胞内Cl濃度は,K―Cl共輸送体(K―Cl cotransporter:KCC2)によって調節される.神経細胞特異的に発現するKCC2は,Clの細胞外排出を担うイオン輸送体であり,これによって細胞内のClを低濃度に保つことができる.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Coull J. A. et al., Nature, 424, 938-942 (2003).
2) Huberfeld G. et al., J. Neurosci., 27, 9866-9873 (2007).
3) Gagnon M. et al., Nat. Med., 19, 1524-1528 (2013).
著者関連情報
© 2014 The Pharmaceutical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top