2016 年 52 巻 2 号 p. 178
細胞の恒常性維持に必須な遺伝子の転写が,環境変化の影響により休眠(サイレンス)状態に陥ってしまうことが疾患発症につながる可能性がある.そのため,不適切にサイレンスされた内在性遺伝子の再活性化は創薬研究でも重要な課題となっている.本稿で紹介するHiltonらの論文は,標的領域のクロマチン状態を改変するエピゲノム編集タンパク質を利用することで,この難問の克服に重要なヒントを与えてくれている.
なお、本稿は下記の文献に基づいて、その研究成果を紹介するものである。
1) Hilton I. B. et al., Nat. Biotechnol., 33, 510-517 (2015).
2) Hsu P. D. et al., Cell, 157, 1262-1278 (2014).
3) Konermann S. et al., Nature, 517, 583-588 (2015).