リーシュマニア症は,サシチョウバエの吸血によって,原生動物であるリーシュマニアが人体へ感染することで引き起こされる,寄生虫感染症である.世界保健機関(WHO)は治療薬の1つとして,細菌型リボソームを標的とする抗生物質パロモマイシンの投与を推奨している.本稿で紹介するZhangらの論文では,リーシュマニアリボソームの高分解能構造を基に,パロモマイシンがいかにしてリーシュマニアに作用するのかに迫っている.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) World Health Organization Tech. Rep. Ser., 949(2010).
2) Ogle J. M. et al., Science, 292, 897–902(2001).