2017 年 53 巻 8 号 p. 801_1
従来は「自閉症」「アスペルガー障害」「特定不能の広汎性発達障がい」に分けられていたものが,新しい診断基準(DSM5版)で統合された.知的障がいが存在する人から,普通以上の能力を持つ人,言葉の遅れのある人からない人まで連続して存在しているのでスペクトラム症とされた.「視線が合いづらい」「人の表情や気持ちの理解が苦手」など,社会的なコミュニケーションの障がいが主症状である.「興味範囲が狭い」「意味のない習慣に執着する」などの特徴もみられる.遺伝子背景については,数多く研究が行われているが,明らかなことは分かっておらず,少なくとも1個の遺伝子異常ではないとされている.また,ある特定の遺伝子異常により生じた病気に自閉症状を伴うことがある.