ファルマシア
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ヘマグルチニン3量体にジャストフィットする6SL-PAMAMデンドリマー
東 恭平
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2017 年 53 巻 8 号 p. 821

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抄録
インフルエンザはインフルエンザウイルスを病原体とし, 毎年冬季に多数の患者を発生させる急性の呼吸器感染症である.症状として, 38℃以上の高熱と同時に頭痛, 全身倦怠感, 筋肉痛や関節痛が認められ, 高齢者や乳幼児では重症化しやすいことが知られている.感染予防や健康被害の低減を目的にインフルエンザHA(ヘマグルチニン)ワクチンが, 治療を目的にノイラミニダーゼ阻害薬(タミフルなど)が開発されてきたが, 我々は依然として耐性株の脅威にさらされている.この現状を打破すべく,デンドリマー等の樹状高分子を用いた新規HA阻害薬の開発が行われ, 粒子表面に存在するシアル酸の数がHAとの親和性に重要と考えられてきた.本稿では, デンドリマーの末端にシアル酸含有糖鎖リガンド(6’-シアリルラクトース:6SL)を結合させた化合物を作製したところ, 数と比較してリガンド間の距離のほうがHA3量体との結合により重要であることを明らかにしたKwonらの報告を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Kwon S. J. et al., Nat. Nanotechnol., 12,48–54(2017).
2) Reuter J. D. et al., Bioconjug. Chem., 10,271–278(1999).
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© 2017 The Pharmaceutical Society of Japan
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