抄録
血圧上昇抑制作用は,納豆の機能性の一つとして知られている。納豆はレニン-アンジオテンシン系の鍵酵素アンジオテンシン変換酵素(ACE)を阻害することで,血圧上昇抑制作用を発揮していると推察されている。納豆の血圧上昇抑制作用に関しては,これまでいくつかの研究報告がなされているが,納豆由来の血圧上昇抑制物質については知見がほとんどない。我々は,ACE 阻害活性が通常の挽き割り納豆よりも約 1.4 倍高いプロテアーゼ処理挽き割り納豆より,ACE 阻害物質を精製・同定した。その結果同定された ACE 阻害物質には,新規な ACE 阻害ペプチドIle-Ile,Ile-Asp,Ile-Phe-Tyr,Leu-Phe-Tyr 及び Leu-Tyr-Tyr が含まれることが判った。更にプロテアーゼ処理挽き割り納豆より粗抽出物を調製し,脳卒中易発性高血圧自然発症ラットに経口投与(抽出物の投与量はラットの体重1kg あたり80mg)すると,有意な収縮期血圧降下を確認することができた。