抄録
日本における木材の平衡含水率は15%と考えられている。これは過去の気象値や実験的データに基づいていると考えられる。気象情報から得られる木材の気候値平衡含水率に関した文献は従来からあるが、測定点は多くなく、主に都市部であった。近年、国内における気象測定地点や経年値等の気象データは増えた。ここでは、1981 ~ 1995年の気象データと木材の平衡含水率図表に基づいて、改めて木材の気候値平衡含水率の検証を行った。その結果、全国842測定点の気象データから、木材の気候値平衡含水率の全国平均は15%、その範囲は12 ~ 19%と、従来からの報告と変わらなかった。ただし、今回算出された数値は、データ数が大幅に増えたことで都市部の比較的低い値と寒冷地の比較的高い
値が平均化された結果である。従来の報告にある都市部の測定地点に限定して比較すると、今回の検証の範囲では木材の気候値平衡含水率は13.5% ~ 13.7%と低下傾向であった。