抄録
札幌市では近年市街地へのシカの出没が問題となっている。北海道農業研究センターの構内においてもシカの目撃が増加しており、市街地に出没するシカの生息地になっている可能性がある。そこで、当センターにおけるシカの生息状況を把握することを目的としてスポットライトカウント調査を実施した。調査は2010年から2016年に40回行い、1,675頭のシカを確認した。観察頭数は増加傾向で、調査開始当初は平均29 ~ 32 頭/ 月程度であったが、2016年には68.5 頭/ 月となり、また局所的な高密度化が確認された。市街地への出没が増加する初夏から秋にかけて、当センターで観察されるシカの数も増加した。電気柵による防除も不十分であり、今後当地域のシカ個体群が市街地に出没するシカの供給地とならないよう、適切な管理が求められる。