抄録
木材などに発現する圧電効果について、現象の概要を実例とともに解説を行っている。続いて、木材およびセルロース、セルロース誘導体における圧電性の発生メカニズムについて圧電温度特性の観測結果をもとに誘電率や弾性率の挙動とともに解析し、それらとの関連を説明した。特に樹種による出現パターンの差異やアンモニア処理、脱リグニン処理、非晶化処理などの化学処理による温度特性の変化から、結晶性およびリグニンなどの木材構成成分との関係を二相系モデルによって解説した。セルロース誘導体については、圧電性の高度な利用法や今後の研究の方向性について概説した。最後に今後の研究の方向性について、例えばデバイスの開発や非破壊的評価方法の開発、生体である樹木中での圧電性の機構の解明を提言した。