抄録
森林作業道作設作業における作業の効率化と施工精度の向上を目的として、油圧ショベルの姿勢やバケット爪先位置を作業道の設計図面とともに運転席のモニタ等に表示させることで、オペレータの作業を支援する情報化施工技術の開発を進めている。本研究では、情報化施工に供する油圧ショベルの各部位に搭載したIMUのデータからバケット爪先位置を演算し、トータルステーションにより精度検証を行った。その結果、高さ方向の標高誤差は平均1.03cm となり、国土交通省の基準である誤差5.0cm以内の基準を十分に満たしたが、3次元方向の誤差が7.05cm と大きい結果となった。この原因を精査したところ、IMUの方位角計測精度に、最大6.0度、平均0.7度の誤差があることが分かった。そこで、IMUの代替となる方位角計測方法として、油圧ショベルの位置を特定するためのトータルステーションによる後部プリズムの測量データを用いて方位角を算定する方法を用いたところ、3次元方向の誤差についても平均1.75cm と小さくなることが分かった。これらのことから、情報化施工に資するための油圧ショベルの姿勢は、IMUセンサとトータルステーションを用いることで、十分な演算精度が得られることを明らかにした。