高齢スギ人工林における個体のサイズ分布特性を明らかにするため、岐阜県郡上市のスギ人工林を対象に林分の多点調査を実施した。80 年生以上の高齢人工林は1000 m3/ha 前後の林分材積を有していた。サイズ不均質性の指標である変動係数およびサイズ非対称性の指標である歪度を用いて、林分の混み合い度 (収量比数) とこれらの指標との関係をみると、同じ混み合い度でも高齢林は壮齢林と比較して直径と材積の変動係数が有意に高かった。また、高齢林における直径の歪度はゼロに近い値が多く、正規分布に近い分布を示していたが、材積の歪度は正の値が多くみられ、右裾広がりの分布を示していた。以上の結果から、郡上市の高齢スギ人工林は比較的高い林分蓄積量を有していると考えられ、個体のサイズ不均質性やサイズ非対称性が高い傾向がうかがえた。このことから、立木密度が低く個体サイズの格差が大きくなった高齢林では、個体ごとの管理が重要であると考えられた。