コナラが優占する広葉樹二次林において、グラップルソーを用いた造材作業の生産速度および労働生産性を明らかにした。造材作業はグラップルソー操作員とチェーンソー作業員の2名で行われ、生産速度は3.2 m3/時、労働生産性は1.6 m3/人・時となった。造材に要する作業時間 (実働作業時間) は胸高直径と高い相関を有し、両者の関係を示す回帰式を得た。この造材作業生産速度について、0.6 dry t/m3 との仮定で海外でのグラップルソー広葉樹造材作業と比較すると、単木材積が小さいにもかかわらず本調査の生産速度より大きくなっている事例もあることから、本調査の生産速度は海外より小さいといえる。国内でのグラップルとチェーンソーによる造材作業との比較では、材の大きさが異なるものの、本調査の方が高い生産速度になるといえ、グラップルソーを用いることで生産速度向上の可能性があるといえる。一方、比較した事例がすべて1人作業であったため、本調査の労働生産性は生産速度よりも相対的に低くなった。そのため、グラップルソーを用いた造材作業では労働生産性向上のために1人作業を目指すこととし、そのためにチェーンソーの利用を極力減らせるようにすることが必要といえる。しかし、チェーンソーを利用したきめ細かな採材がなくなることで、造材歩留まりは低下すると考えられるため、地域資源の有効利用の観点から、許容されうる最も効率的な採材基準を検討する必要がある。