2023 年 22 巻 4 号 p. 217-221
九州でつくられたスギ苗品種が四国でどのような初期成長特性を示すか確認するため、四国中央部のやや高標高の国有林施業地において、四国在来苗 (実生苗)、高岡署1号 (挿木苗)、およびタノアカ (挿木苗) を植栽し、3年間の成長を追跡した。四国在来苗のみ植栽時の形状比が非常に高かったが、1年後には3種の苗とも同等の値になった。3成長期後の根元径ではタノアカが細く、形状比ではタノアカが高く高岡署1号が低かったが、樹高には3種の苗で差がなかった。本試験地は四国内でもやや冷涼でスギ挿木苗の樹高成長が抑えられた可能性があるため、九州の優良品種挿木苗を四国で適用する際には適地を見極める必要があるだろう。