森林総合研究所研究報告
Online ISSN : 2189-9363
Print ISSN : 0916-4405
ISSN-L : 0916-4405
22 巻, 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
短報
  • 古川 拓哉, 小柳 知代, 鹿内 彩子, 関山 牧子, 松浦 俊也
    原稿種別: 短報
    2023 年 22 巻 4 号 p. 191-198
    発行日: 2023/12/22
    公開日: 2023/12/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

    在来木の実の食用価値の再評価を目的に、オニグルミ (Juglans mandshurica var. sachalinensis)、ヒメグルミ (Juglans mandshurica var. cordiformis)、マテバシイ (Lithocarpus edulis) について、報告例のない微量栄養素 (ミネラル、ビタミン) などを分析し、既報の同種及び近縁種 (同属、同科) と比較した。オニグルミとヒメグルミはマグネシウム、リン、鉄、亜鉛、マンガンの値がペルシャグルミ (Juglans regia) よりも高く、マテバシイはマンガンや銅が他のブナ科よりも高かった。オニグルミはγ-トコフェロールとビタミンB1の値が他のクルミ種よりも高く、マテバシイはビタミンK1とビタミンCがクリ属よりも高かった。全重量に対する非可食部の重量比 (廃棄率) はオニグルミ73.6%、ヒメグルミ72.1%、マテバシイ35.3%であった。

ノート
研究資料
  • 山川 博美, 濱田 辰広, 長渕 直, 森 秀紀, 木學 良広, 鈴木 圭, 野宮 治人
    原稿種別: 研究資料
    2023 年 22 巻 4 号 p. 209-215
    発行日: 2023/12/22
    公開日: 2023/12/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

    ニホンジカの生息個体数の増加や分布拡大により、多くの地域でシカの採食が人工林に深刻な被害を与えている。そこで、若齢スギ造林地に対するシカによる被害リスクを広域で明らかにするため、九州地域を対象として、簡単なシカの痕跡調査 (スギおよびヒノキの成木に対する剥皮痕、シカ糞、下層植生への採食痕の多寡、シカ道および足跡の有無) によって、スギおよびヒノキ人工林に対するシカの影響度合を評価し、若齢スギ造林地へのシカ被害リスクの広域マップを作成した。その結果、九州地域の人工林を対象として、対馬島や玖珠地域などシカの影響を強く受けている地域、シカの拡大最前線など、若齢スギ造林地でのシカ被害に対する適切な管理をすべき地域を抽出することができた。

  • 大谷 達也, 米田 令仁, 福本 桂子, 山川 博美
    原稿種別: 研究資料
    2023 年 22 巻 4 号 p. 217-221
    発行日: 2023/12/22
    公開日: 2023/12/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

    九州でつくられたスギ苗品種が四国でどのような初期成長特性を示すか確認するため、四国中央部のやや高標高の国有林施業地において、四国在来苗 (実生苗)、高岡署1号 (挿木苗)、およびタノアカ (挿木苗) を植栽し、3年間の成長を追跡した。四国在来苗のみ植栽時の形状比が非常に高かったが、1年後には3種の苗とも同等の値になった。3成長期後の根元径ではタノアカが細く、形状比ではタノアカが高く高岡署1号が低かったが、樹高には3種の苗で差がなかった。本試験地は四国内でもやや冷涼でスギ挿木苗の樹高成長が抑えられた可能性があるため、九州の優良品種挿木苗を四国で適用する際には適地を見極める必要があるだろう。

  • 柴田 銃江, 川村 志満子, 設樂 拓人, 大橋 春香, 小黒 芳生, 黒川 紘子, 佐々木 雄大, 米倉 浩司, 松井 哲哉
    原稿種別: 研究資料
    2023 年 22 巻 4 号 p. 223-228
    発行日: 2023/12/22
    公開日: 2023/12/22
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電子付録

    昭和初期の「国有天然林調査報告書」のデジタルアーカイブの一環として、紙媒体である「十和田國立公園地域 植生調査説明書」の原本をスキャン画像として保存した。また、原本の本文を現代語訳するとともに新旧植物名の対応表を作成した。この原本は、十和田湖および八甲田山地域の国立公園内において、1933~1936年 (昭和8~11年) 頃に、青森営林局が実施した国有天然林の一連の森林調査を総括した報告書である。当該地域にある様々な植生について、その組成構造や主要植物の分布状況等が網羅的に記載されるとともに、植生保全のあり方や垂直分布が議論されている。本資料は山岳地域の長期生態学研究に役立つ情報となるだけでなく、当時の森林官の自然環境や森林植生に関する見識や調査能力も伝える貴重な学術資料である。

feedback
Top