リュウノヒゲは、熊本県と大分県に植栽されているスギ在来品種で、成長は中生型で通直性と耐風性に優れるが、その木材の性質はほとんど知られていない。本研究では、熊本県菊池地方の同一林分に生育した30個体の地上高0.6~8.0 mから丸太と円板を採取して、木材性質の個体間と個体内の変動を調べた。他のスギ品種に比べて、木材密度、ヤング率及び晩材率は高く、ミクロフィブリル傾角は小さかった。また、他のスギ品種に比べて、接線方向と半径方向の収縮率は比較的大きかった。地際部を除くと生材の心材含水率は低かった。心材色では明度(L*)と黄色度(b*)が高く、赤色度(a*)が中程度であった。これら木材性質の個体間変動は小さく、樹幹内変動は全個体で類似していた。リュウノヒゲは、通直性と耐風性に加えて木材の性質も優れることから、造林用品種として望ましい性質を有している。