Functional Food Research
Online ISSN : 2434-3048
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原著
さまざまな味噌における抗酸化作用と色彩値におよぼすアミノ酸の影響
佐藤 由菜関 洋子
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2023 年 19 巻 p. 65-72

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抄録

味噌は原料の違いによって米味噌,麦味噌,豆味噌に分類され,熟成期間とともに濃い色となる.味噌の色素成分はアミノ酸と糖の反応で生成する褐色成分であるメラノイジンで,メラノイジンは高い抗酸化作用を持つため,味噌は熟成期間が長くなるにつれて抗酸化作用が高くなるといえる.色は色彩値であるLab 値で評価されることが多く,L 値は明るさ,a 値は赤味,b 値は黄色味をそれぞれ示す.味噌の色は主にL 値で評価されてきたが,メラノイジンは褐色物質のため,a 値,b 値も考慮する必要がある.また,メラノイジンの色はアミノ酸の種類によって異なることから,味噌の抗酸化作用を評価する上で,アミノ酸の組成の特定は必須である.そこで本研究では,味噌の抗酸化作用と色彩値の関係および味噌に含まれるアミノ酸の種類と着色度および抗酸化作用の関係を明らかとした.その結果,味噌の抗酸化作用は豆味噌で最も高い活性を,Lab 値においては豆味噌で最も低い値を示し,抗酸化作用と色彩値では高い負の相関が確認された.各アミノ酸とグルコースとのモデルメラノイジンにおいては,システイン,リシン,アルギニン,ヒスチジンで高い抗酸化作用を示したが,着色度においてはリシン,アルギニン,ヒスチジンでは高く,システインでは低い値であった.また,味噌における着色度および抗酸化作用では検討したほぼすべてのアミノ酸で高い相関を示したが,グルタミン酸では低い相関であった.これらのことから,本研究では味噌の抗酸化作用はL 値だけでなく,a 値およびb 値と高い負の相関を示すこと,モデルメラノイジンにおいてリシン,アルギニン,ヒスチジンでは高い抗酸化作用および着色度を示したが,システインでは抗酸化作用は高いが着色度が低いこと,味噌の着色度と抗酸化作用は味噌のアミノ酸量に依存し,着色度についてはリシン,アルギニン,ヒスチジンの寄与が,抗酸化作用ではシステイン,リシン,アルギニン,ヒスチジンの寄与が大きいことを明らかとした.

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