2023 年 19 巻 p. 73-83
機能性食品として用いられているコラーゲン加水分解物(CH)は,ブタ皮,魚鱗および魚皮が大半を占めている.その摂取効果を比較したものがなく,本研究では,紫外線暴露により誘導した光老化および卵巣摘出した骨粗鬆症モデルを用いた摂取効果の違いを明らかにすることを目的とした.分子量2000 前後のブタ皮,魚鱗および魚皮由来CH のアミノ酸組成は,Pro, Hyp 含量が異なる.構成オリゴペプチド組成は,Gly-Pro やHyp-Gly が多く存在し,魚由来CH に比べブタ皮由来CH ではトリペプチドを多く含有していた.光老化モデルのCH 摂取効果は,基原が異なっても皮膚水分量や表皮の肥厚を改善していた.シワの改善効果は,魚皮由来CH 摂取により改善した.また,骨粗鬆症モデルに基原の異なるCH を投与した結果,大腿骨遠位部で骨密度が若干高くなった.基原が異なるCH の摂取により皮膚や運動器に同様の影響を与えるが,その効果は異なる可能性が示唆された.