【目的】白内障とは,水晶体が白濁し視力が低下する病気であり,失明原因として世界で最も多い.白濁の原因には酸化ストレスが関与しているとされている.また,糖尿病は生活習慣病の主要な疾患であり,糖尿病を罹患する患者は白内障の発症も進行も早い.本研究では,ストレプトゾシン(STZ)誘発糖尿病性白内障モデルラットを用いて,ビタミンC を多く含有し,高い抗酸化作用を持つアセロラパウダーVC30 で作成したアセロラ水(AW)投与による影響を検証した.
【方法】雄SD ラットにSTZ60 mg/kg を腹腔内投与し,高血糖を誘発させた.翌週に血糖値をモニタリングし,血糖値300 mg/dL 以上を高血糖とし,300 mg/dL 未満の動物は実験から除外した.Control 群(水),4%AW 群,STZ 群(水),STZ+2%AW 群,STZ+4%AW 群を設定した.高血糖が確認されてから,水または2%,4%AW 水を自由摂取させた.血糖値は隔週でモニタリングし,AW 摂取開始8 週目にスリットランプで水晶体を観察した.AW 摂取開始10 週目に両側眼球および膵臓を摘出し,病理組織学的に観察した.
【結果】STZ を投与した群は高血糖状態が続き,2% および4%AW 摂取による改善は認められなかった.膵臓の所見は,STZ を投与した群でランゲルハンス島の小型化や数の減少が観察され,2% および4%AW 摂取による改善は認められなかった.スリットランプによる観察では,STZ を投与した群で水晶体の白濁が観察され,病理組織学的評価では,水晶体線維の膨化や空胞化,異所性核などの異常がみられた.2% および4%AW 摂取による水晶体の病理変化の軽減は認められなかった.
【考察】本実験では,糖尿病および糖尿病性白内障の病態に対し,AW 摂取による抑制効果は認められなかった.
抄録全体を表示