Functional Food Research
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挨拶
総説
  • 清水 孝彦
    原稿種別: 論説
    2023 年 19 巻 p. 5-9
    発行日: 2023/10/12
    公開日: 2024/02/11
    ジャーナル フリー

    早老症は,老化に似た症状が実際の年齢よりも前倒しされて,若齢時に出現する遺伝病である.遺伝性早老症の分子遺伝学的研究から,原因遺伝子が特定され,DNA 修復またはゲノムの安定性に寄与する遺伝子が同定された.また早老症患者由来細胞は,細胞老化形質を示し,DNA 損傷と細胞老化の寄与が示されている.日本人に症例数の多いWerner 早老症候群は,種々のモデル開発にも関わらず,未だ老化兆候を呈する適切なモデル系がない.最近,われわれは新しいWerner 早老症モデルマウスの作出を試み,患者症状の一部を再現でき,かつ組織細胞が細胞老化形質を示すことを明らかにしている.またモデルマウス由来細胞はセノリシス薬感受性であり,セノリシス作用を評価できる.本総説では,遺伝性早老症の概説から,最新の早老症モデルマウスの紹介とともに,ファンクショナルフードによる老化制御の可能性について論じたい.

  • 丸山 光生
    原稿種別: 総説
    2023 年 19 巻 p. 10-15
    発行日: 2023/10/12
    公開日: 2024/02/11
    ジャーナル フリー

    20 世紀の後半から半世紀以上も更新し続けるわが国の100 歳以上の高齢者が2022 年9 月には9 万人を超え,私たちが自分たちの寿命の延伸と人生100 年時代を意識する機会も増加した.それに伴い,高齢者の生活の質(QOL)を高め,健康寿命の延伸を目指すために,加齢に伴って低下する様々な生体機能の変化との関連が多面的,包括的に議論されている.一方,老化の要因に関する多くの研究も進められ,日常,規則正しい食生活,口にする食品の栄養バランスと腹八分目の「栄養」や生活習慣としての適度で習慣的な「運動」,睡眠の質の向上やストレスの少ない環境での「コミュケーション」の充実とバランスなどが,健康長寿の秘訣と考えられてきた.その一方で,加齢とともに身体に静かに蓄積される慢性炎症や免疫系をはじめとする生体機能の低下なども大きな老化の要因として注目されている.老化研究もこうした地球規模の高齢化社会の到来に伴って進化と多様化を繰り返してきた.本総説ではこれまで様々な生物で進められてきた寿命や老化研究の流れを紹介し,寿命遺伝子の発見や老化のメカニズムから紐解いたエビデンスをヒトの老年医学により近づけるものとして位置づけるジェロサイエンス研究について概説する.そして,一例としてプレバイオティックス乳酸菌を老化に伴い生体内で生じる細胞老化,炎症性サイトカインの産生とそれを制御する腸管,さらには全身における生体防御系を検討した結果を健康寿命の延伸と深く結び付くファンクショナルフードによる慢性炎症の抑制や栄養介入が個体老化に及ぼす可能性や影響についても紹介したい.

  • 下川 功
    2023 年 19 巻 p. 16-21
    発行日: 2023/10/12
    公開日: 2024/02/11
    ジャーナル フリー

    摂食カロリー制限(dietary calorie restriction,DR)の効果は,自然環境中の食物資源が不足する場合,動物が生存するための適応機構から生じると進化生物学的に推論されていた.われわれは,この生理学的適応機構に関与するNeuropeptide Y(Npy)に着目した.Npy 欠失マウスでは,DR による寿命延伸,腫瘍抑制,ストレス耐性効果が減弱した.この結果は,DR の効果にNpy が必要であることを示している.引き続く研究は,Npy がβアドレナリン作動性シグナルに拮抗して,DR に伴う過剰な体内脂肪の消失を抑制していることを明らかにした.一方,AL 環境においても,成長ホルモン(GH)-IGF-1 系シグナルを減弱させる遺伝子変異は一貫して,実験動物の寿命を延伸する.DR 動物でも,GH-IGF-1 系は抑制されているので,このシグナル系は進化生物学的に保存された老化と寿命を制御するシグナルと考えられている.IGF1 シグナルの下流にあるFoxO 転写因子ファミリーは,DR の効果に関与している可能性がある.われわれは,この仮説を検証するために,Foxo1,Foxo3 遺伝子半欠失マウスを用いて寿命研究を行った.結果は,DR の腫瘍抑制にはFoxO1 が,寿命延伸にはFoxO3 が重要であることを示した.引き続く研究は,FoxO3 が肝臓の代謝とミトコンドリアのbioenergetics に大きな役割を果たしていることを示唆した.ヒトの長寿と遺伝子型の解析でもFOXO3 遺伝子多型との関連性が,複数の人種によって示されている.DR の効果に関連する遺伝子の探索は,ヒトの老化制御に応用できる可能性が高い.

  • 夜久 圭介, 中川 崇
    原稿種別: 総説
    2023 年 19 巻 p. 22-27
    発行日: 2023/10/12
    公開日: 2024/02/11
    ジャーナル フリー

    世界的な高齢化の進行によって老化を遅らせるための研究が精力的に行われている.Nicotinamide adenine dinucleotide(NAD+)は生命機能の維持に必須の補因子であり,抗老化分子として注目されている.不規則な生活習慣や老化過程の進行によって体内のNAD+需要は高まる.また,一方でNAD+前駆体によるNAD+補充は生活習慣病や老化関連疾患の予防・治療に効果的であると考えられている.NAD+前駆体の中でもNicotinamide riboside (NR)とNicotinamide mononucleotide NMN)は広範な動物モデルに対して健康増進効果を確認されてきたことから,近年ではNR とNMN を用いた臨床試験が活発に行われている.しかしながら,現在のところ臨床試験においてNAD+前駆体は,動物モデルの結果から期待されるほどの効果を示してはいない.一方で,より効率的なNAD+補充を目指して,NAD+代謝それ自体を対象とした基礎研究も精力的に継続されており,NAD+代謝の新たな側面が明らかにされている.そこで,これら最新の知見をもとに,NAD+研究の現状や課題について紹介し,NAD+代謝の調節による健康増進への道筋を共有したい.

  • ~アミロイド蛋白質の凝集を阻害するファンクショナルフードを例として~
    村上 一馬
    原稿種別: 総説
    2023 年 19 巻 p. 28-33
    発行日: 2023/10/12
    公開日: 2024/02/11
    ジャーナル フリー

    生物活性をもつ天然物は創薬シーズになることから,天然物の探索研究は古くから行われている.ファンクショナルフードや生薬は身近な天然物として,有用なスクリーニングソースである.筆者の所属研究室では,アルツハイマー病の原因物質とされるアミロイドβ蛋白質(Aβ42)の凝集現象を天然物研究の一例として,多くの凝集阻害物質が報告されてきた.一般に,天然物の抽出液から活性成分を単離して,化学構造を決定するには精製と活性確認を繰り返す必要があり,長期間かかることも珍しくない.そこで,LC-MS と主成分分析を活用した活性成分の新たな同定法を検討した.スクリーニングソースには,アルプス薬品工業(株)から供与いただいた生薬ライブラリーに含まれる抽出液380 種を用いた.植物18 種に由来する部位の異なる生薬46 種を選抜し,Aβ42 の凝集能に与える影かこうかよう響をチオフラビンT 蛍光法によって調べた.その結果,ハス由来の5 つの生薬[荷梗(葉柄),荷葉 れんすれんぼう ,藕節(根節),蓮鬚(雄蕊),蓮 房(果托)]が,それぞれ強度が異なる阻害活性を示した.こ れらの抽出液をLC-MS 分析し,主成分分析を行い,化合物バンクのデータベースから化合物の極性や分子量,フラグメント構造を網羅的に探索し,候補化合物を22 種に絞り込んだ.さらに凝集試験を行った結果,6 種のフラボノイドと配糖体2 種が強い抑制活性を示すことがわかった.特に,ロビネチンとミリシトリンが凝集抑制活性を示すことを初めて見いだした.本総説では,これらの生物活性物質の探索法の他に,天然物研究に関する最近の知見を紹介する.

  • 清水 誠
    原稿種別: 総説
    2023 年 19 巻 p. 34-38
    発行日: 2023/10/12
    公開日: 2024/02/11
    ジャーナル フリー

    大豆は機能性に富む食品であり,とくにたんぱく質画分は様々な代謝改善効果を有することが知られている.β-コングリシニンは大豆たんぱく質の約20% を占め,脂質の分解促進や吸収阻害など脂質代謝改善効果において重要なたんぱく質画分と考えられている.β-コングリシニンによる代謝改善効果の分子機序を解明するため,これまでわれわれは肝臓を中心とした分子栄養学的解析を行ってきた.マウスを用いた摂食実験により,β-コングリシニン摂取後,早期に応答するエネルギー代謝制御因子の同定を試みた.肝臓のトランスクリプトーム解析の結果,β-コングリシニン摂取によりFGF21 growth factor 21)の発現が顕著に増加することを見いだした.FGF21 は絶食応答性ホルモンとして知られており,主に肝臓で合成・分泌される.血中に分泌されたFGF21 は脂肪組織,肝臓,脳などの標的臓器に作用し,抗肥満効果や脂質代謝改善効果を発揮することが知られている.また,FGF21 のトランスジェニックマウスは長寿であり,老化制御の機能も示唆されている.FGF21 欠損マウスにβ-コングリシニンを含む高脂肪食を摂取させた結果,野生型マウスで見られる代謝改善効果が低下した.肝臓の遺伝子発現解析の結果,転写因子ATF4 の複数の標的遺伝子がβ-コングリシニンにより増加することが示された.われわれはFGF21 がATF4 の標的遺伝子であること,ATF4 の阻害によりβ-コングリシニンによるFGF21 の発現増加が抑制されることを見いだした.さらにβ-コングリシニン摂取により,門脈中のメチオニン量が低下することが示された.これらの結果から,大豆たんぱく質β-コングリシニンはATF4-FGF21 経路の活性化を介した代謝改善効果を有することが示された.本稿ではFGF21 と大豆たんぱく質との関連を中心に大豆の機能性について概説する.

  • 蒲原 聖可
    原稿種別: 総説
    2023 年 19 巻 p. 39-44
    発行日: 2023/10/12
    公開日: 2024/02/11
    ジャーナル フリー

    COVID-19 対策として,SARS-CoV-2 感染予防やCOVID-19 の重症化予防,治療,後遺症対策における機能性食品成分の有用性に関する研究が進められている.すでに,ビタミンやミネラル,ハーブ類などのエビデンスが数多く報告されてきた.グルコサミンは抗炎症作用を有することから,COVID-19 対策における有用性が推察される.そこで,COVID-19 対策におけるグルコサミン(GlcN)およびN- アセチルグルコサミン(NAG)の有用性に関して,文献レビューを行った.まず,分子ドッキング法を用いた研究では,NAG によるSARS-CoV-2 タンパク質との結合を介した阻害作用,およびウイルスに対する宿主の免疫応答の誘導が示唆された.次に,12 万人を対象にしたコホート研究によると,GlcN サプリメントの利用群は,非利用群に比べて,COVID-19 による入院リスクが27%低く,死亡率が26%低いという相関が見出された.さらに,COVID-19 入院患者48 人にNAG を投与した臨床試験によると,対照群に比べて,NAG 投与群では,重症化リスク低下が認められた.以上より,COVID-19 対策におけるGlcN およびNAG の有用性が示唆された.

  • 澁谷 修一, 渡辺 憲史, 桜庭 大樹, 阿部 卓哉, 清水 孝彦
    原稿種別: 総説
    2023 年 19 巻 p. 45-49
    発行日: 2023/10/12
    公開日: 2024/02/11
    ジャーナル フリー

    筋骨格系疾患は老化に伴い発症する深刻な病態であり,運動機能の低下による骨折や寝たきり状態のリスクとなり得る.筋肉量を増やす運動トレーニングに加えて,機能性食品の摂取による筋機能の向上は筋骨格系疾患の有効な治療戦略である.活性酸素種(ROS)は筋疲労の原因ともなることが報告されており,ROS の増加によって引き起こされるレドックスの不均衡が筋肉の機能低下を誘発する.われわれ生物はROS から組織および細胞を保護するために様々な抗酸化システムを有する.SOD はスーパーオキシドを過酸化水素に変換する抗酸化酵素である.SOD ファミリーの中で,ミトコンドリア局在型のSOD2 を欠損させたマウスは拡張型心筋症,神経変性,および脂肪肝を伴う新生児致死となり,抗酸化酵素の中でも重要な機能が想定される.われわれは骨格筋特異的 SOD2 欠損マウスを作出して解析し,この欠損マウスはミトコンドリア内ROS の増加に起因するミトコンドリア機能不全および骨格筋障害により著しい運動不耐を示すことを明らかにした.骨格筋特異的SOD2 欠損マウスは筋疲労モデルとして,筋機能低下のメカニズム解明や運動機能改善を目的とした研究応用が期待で きる.本稿では,骨格筋特異的SOD2 欠損マウスの骨格筋病態について解説し,欠損マウスを用いた運動機能を増強する機能性食品素材の探索について紹介する.

  • 平田 美智子, 富成 司, 新井 大地, 松本 千穂, 稲田 全規
    原稿種別: 総説
    2023 年 19 巻 p. 50-55
    発行日: 2023/10/12
    公開日: 2024/02/11
    ジャーナル フリー

    ヒアルロン酸(HA)はグリコサミノグリカンの一種であり,生体組織における細胞外マトリックスの構成成分である.HA は関節液や関節軟骨に多量に存在し,潤滑作用や緩衝作用など関節を保護する役割を担っている.現在,変形性膝関節症(OA)や関節リウマチ(RA)における関節痛を和らげる目的として,関節内HA 投与が広く行われているが,骨吸収におけるHA の役割は不明な点が多い. 現在,筆者らは,HA の骨への作用に着目し,炎症性骨吸収への作用解析を進めている.マウス骨器官培養において,HA はインターロイキン-1( IL-1)誘導性の骨吸収活性を抑制し,炎症性メディエーターであるプロスタグランジンE2(PGE2)および関節軟骨破壊に関与するゼラチナーゼのマトリクスメタロプロテアーゼ( MMP)-2 と-9 の産生を阻害した.また,骨芽細胞と骨髄細胞の共存培養系において,HA はIL-1 誘導性の破骨細胞分化を抑制することを見いだした.その作用機序の解析では,骨芽細胞において,HA はIL-1 誘導性のPGE2 合成酵素群,破骨細胞分化誘導因子RANKL (receptor-activator of NF-κB ligand),およびコラゲナーゼMMP-13 のmRNA 発現を抑制し,NF-κB 転写活性を抑制することを明らかにした.本総説では,ヒアルロン酸の炎症性骨吸収への作用についての知見を概説する.超高齢社会において,歯周疾患やリウマチ疾患などの炎症を伴う骨破壊へと発展する疾患罹患者数は増加することが見込まれているが,その治療因子の一つとしてヒアルロン酸が期待される.

原著
  • 那須 さくら, 笹木 友美子, 原 真佐夫, 渡部 睦人, 野村 義宏
    原稿種別: 原著論文
    2023 年 19 巻 p. 56-64
    発行日: 2023/10/12
    公開日: 2024/02/11
    ジャーナル フリー

    植物に含まれるアラビノガラクタン-プロテイン(AGP)は,植物プロテオグリカンであり,コアタンパク質にヒドロキシプロリン(Hyp)をもち,そこにガラクトースおよびアラビノースからなるアラビノガラクタン(AG)の分岐鎖が結合した構造をとる.AGP は,植物の分化や成長に関わる生理機能を有することが知られており,これまでイオン交換クロマトグラフィーなどを用いて植物から分離されていた(イオン交換クロマトグラフィーで分画したAGP をPG と表記する).しかし,従来の方法ではAGP とAG を完全に分離することが困難であった.本研究では,疎水クロマトグラフィーによってアラビアガムからAG を除いたAGP を分画し(疎水クロマトグラフィーで分画したAGP をPGn と表記する),皮膚細胞に対する影響について検討を行った. 飽和食塩水に溶解したアラビアガムを疎水性担体に吸着させ,NaCl 濃度を段階的に低くした溶液で溶出することでAGP 分画物を得た.イオン交換クロマトグラフィーに比べ,疎水クロマトグラフィーはより効率的にAGP を抽出できる可能性が示唆された. 次に,ヒト表皮角化細胞(HaCaT)とヒト真皮線維芽細胞(HFB)へPGn およびPG を添加し,遺伝子発現量およびヒアルロン酸(HA)産生量への影響について検討した.表皮細胞では,HA 合成酵素の遺伝子(ʜAS2)の発現増加およびHA の産生量が増加することを確認した. よって,AGP を高含有する検体は皮膚のHA 量を増加させて皮膚水分量を改善する可能性が示唆さ れた.

  • 佐藤 由菜, 関 洋子
    原稿種別: 原著論文
    2023 年 19 巻 p. 65-72
    発行日: 2023/10/12
    公開日: 2024/02/11
    ジャーナル フリー

    味噌は原料の違いによって米味噌,麦味噌,豆味噌に分類され,熟成期間とともに濃い色となる.味噌の色素成分はアミノ酸と糖の反応で生成する褐色成分であるメラノイジンで,メラノイジンは高い抗酸化作用を持つため,味噌は熟成期間が長くなるにつれて抗酸化作用が高くなるといえる.色は色彩値であるLab 値で評価されることが多く,L 値は明るさ,a 値は赤味,b 値は黄色味をそれぞれ示す.味噌の色は主にL 値で評価されてきたが,メラノイジンは褐色物質のため,a 値,b 値も考慮する必要がある.また,メラノイジンの色はアミノ酸の種類によって異なることから,味噌の抗酸化作用を評価する上で,アミノ酸の組成の特定は必須である.そこで本研究では,味噌の抗酸化作用と色彩値の関係および味噌に含まれるアミノ酸の種類と着色度および抗酸化作用の関係を明らかとした.その結果,味噌の抗酸化作用は豆味噌で最も高い活性を,Lab 値においては豆味噌で最も低い値を示し,抗酸化作用と色彩値では高い負の相関が確認された.各アミノ酸とグルコースとのモデルメラノイジンにおいては,システイン,リシン,アルギニン,ヒスチジンで高い抗酸化作用を示したが,着色度においてはリシン,アルギニン,ヒスチジンでは高く,システインでは低い値であった.また,味噌における着色度および抗酸化作用では検討したほぼすべてのアミノ酸で高い相関を示したが,グルタミン酸では低い相関であった.これらのことから,本研究では味噌の抗酸化作用はL 値だけでなく,a 値およびb 値と高い負の相関を示すこと,モデルメラノイジンにおいてリシン,アルギニン,ヒスチジンでは高い抗酸化作用および着色度を示したが,システインでは抗酸化作用は高いが着色度が低いこと,味噌の着色度と抗酸化作用は味噌のアミノ酸量に依存し,着色度についてはリシン,アルギニン,ヒスチジンの寄与が,抗酸化作用ではシステイン,リシン,アルギニン,ヒスチジンの寄与が大きいことを明らかとした.

  • 王 璐瑤, 細川 茉佑子, 望月 萌恵, 宮田 真路, 稲田 全規, 野村 義宏
    原稿種別: 原著論文
    2023 年 19 巻 p. 73-83
    発行日: 2023/10/12
    公開日: 2024/02/11
    ジャーナル フリー

    機能性食品として用いられているコラーゲン加水分解物(CH)は,ブタ皮,魚鱗および魚皮が大半を占めている.その摂取効果を比較したものがなく,本研究では,紫外線暴露により誘導した光老化および卵巣摘出した骨粗鬆症モデルを用いた摂取効果の違いを明らかにすることを目的とした.分子量2000 前後のブタ皮,魚鱗および魚皮由来CH のアミノ酸組成は,Pro, Hyp 含量が異なる.構成オリゴペプチド組成は,Gly-Pro やHyp-Gly が多く存在し,魚由来CH に比べブタ皮由来CH ではトリペプチドを多く含有していた.光老化モデルのCH 摂取効果は,基原が異なっても皮膚水分量や表皮の肥厚を改善していた.シワの改善効果は,魚皮由来CH 摂取により改善した.また,骨粗鬆症モデルに基原の異なるCH を投与した結果,大腿骨遠位部で骨密度が若干高くなった.基原が異なるCH の摂取により皮膚や運動器に同様の影響を与えるが,その効果は異なる可能性が示唆された.

  • 津田 玲生
    原稿種別: 原著論文
    2023 年 19 巻 p. 84-89
    発行日: 2023/10/12
    公開日: 2024/02/11
    ジャーナル フリー

    認知症患者は世界的に増加しており,2050年までに1億3000万人が罹患すると予想されている(World Alzheimer’s disease Report, 2015).認知症患者の中で約7 割がアルツハイマー病Alzheimer’s disease,AD)と考えられ,AD に対する治療薬の開発が急がれている.これまで様々な創薬標的が提示されてきたが,病態の進行そのものを抑制できる低分子化合物による疾患修飾薬は開発に成功していない.AD の発症には食事の習慣と相関があるといわれ,多くの機能性食品が認知症に効果があるという報告があるが,分子レベルでのメカニズムはあまり明らかになっていない.本研究ではAD の発症に重要な役割を持つβアミロイド42(Aβ42)に注目して,Aβ42 の神経毒性をショウジョウバエモデルでモニターできる解析系を確立することにより機能未知の化合物から治療薬の同定を試みた.認知症に対して治療効果があると考えられているイチョウ葉,ラフマ葉,大豆,黒ウコン,ブドウ種子,ピーナッツ種皮,緑茶などからの生理活性物質を集めた化合物ライブラリーを調べたところ,既存のQuercetin やKaempferol に加えて3つのポリフェノール化合物が同定されて きた.分子間相互作用を用いた解析から,薬剤検索から同定されてきた化合物の多くはAβ42 に直接結合することが確かめられたことから,ショウジョウバエモデルを用いた薬剤開発からAD 治療薬の創出につながる可能性が期待される.

  • 茶谷 桃花, 斎藤 直美, 吉岡 正浩, 木下 勇一, 中村 花恵, 橋本 優希, 竹之内 明子, 義澤 克彦
    原稿種別: 原著論文
    2023 年 19 巻 p. 90-99
    発行日: 2023/10/12
    公開日: 2024/02/11
    ジャーナル フリー

    【目的】白内障とは,水晶体が白濁し視力が低下する病気であり,失明原因として世界で最も多い.白濁の原因には酸化ストレスが関与しているとされている.また,糖尿病は生活習慣病の主要な疾患であり,糖尿病を罹患する患者は白内障の発症も進行も早い.本研究では,ストレプトゾシン(STZ)誘発糖尿病性白内障モデルラットを用いて,ビタミンC を多く含有し,高い抗酸化作用を持つアセロラパウダーVC30 で作成したアセロラ水(AW)投与による影響を検証した.

    【方法】雄SD ラットにSTZ60 mg/kg を腹腔内投与し,高血糖を誘発させた.翌週に血糖値をモニタリングし,血糖値300 mg/dL 以上を高血糖とし,300 mg/dL 未満の動物は実験から除外した.Control 群(水),4%AW 群,STZ 群(水),STZ+2%AW 群,STZ+4%AW 群を設定した.高血糖が確認されてから,水または2%,4%AW 水を自由摂取させた.血糖値は隔週でモニタリングし,AW 摂取開始8 週目にスリットランプで水晶体を観察した.AW 摂取開始10 週目に両側眼球および膵臓を摘出し,病理組織学的に観察した.

    【結果】STZ を投与した群は高血糖状態が続き,2% および4%AW 摂取による改善は認められなかった.膵臓の所見は,STZ を投与した群でランゲルハンス島の小型化や数の減少が観察され,2% および4%AW 摂取による改善は認められなかった.スリットランプによる観察では,STZ を投与した群で水晶体の白濁が観察され,病理組織学的評価では,水晶体線維の膨化や空胞化,異所性核などの異常がみられた.2% および4%AW 摂取による水晶体の病理変化の軽減は認められなかった.

    【考察】本実験では,糖尿病および糖尿病性白内障の病態に対し,AW 摂取による抑制効果は認められなかった.

  • 黒住 誠司, 山下 将史, 副島 圭司, 上村 正彦, 泉 良太郎, 山本 正次, 髙田 和明
    原稿種別: 原著論文
    2023 年 19 巻 p. 100-111
    発行日: 2023/10/12
    公開日: 2024/02/11
    ジャーナル フリー

    本研究では,多孔質キトサンシートの血小板凝集促進作用を検討した.キトサンスポンジは,キトサン酢酸水溶液から,シャーベット状の氷を調製し,冷凍により均質なシャーベット凍結氷を得た後,凍結乾燥することにより製造した(シャーベット凍結法).キトサンシート(キトサン酢酸塩)は,キトサンスポンジをプレスして得られ,最終的にガンマ線により滅菌された.キトサンスポンジは表面および断面が均質な多孔質構造のスポンジ成形体であり,溶液調製の際,終濃度2%以下のエタノールを添加することで,メディアン細孔直径は97 µm に調製された.キトサンシートはメディアン細孔直径32 µm の小さい多孔質構造であることが確認された.キトサンスポンジおよびキトサンシートは,いずれも速やかに水を吸収し,85℃以上24 時間の加熱処理をしたキトサンシートは,溶出酢酸の減少,吸水後の破断強度の増加が認められた.キトサンシートとヒト血小板豊富血漿(PRP)と接触させ,凝集した血小板から放出される血小板因子4(PF4)とβ-トロンボグロブリン(β-TG)を測定し,キトサンシートの血小板凝集促進効果を評価した.キトサンシートは,ガーゼ,キトサン酢酸塩の止血材(キトサン- 酢酸パッド,キトサン不織布と比較して,PF4 とβ-TG の放出量が有意に高かった(p < 0.01).これらの結果から,キトサンシートは血小板の凝集を促進する止血材としての機能が示唆された.

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