Functional Food Research
Online ISSN : 2434-3048
Print ISSN : 2432-3357
総説
ロイシンと運動刺激による骨格筋細胞の機能制御
髙戸谷 賢富成 司新井 大地田中 優樹唐牛 健杜池田 圭祐清水 絢介宮浦 千里平田 美智子稲田 全規
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2024 年 20 巻 p. 49-54

詳細
抄録

医療技術の進歩と共に平均寿命が延伸し,健康寿命への対応が望まれている.加齢における運動器,特に筋組織の健康状態を維持するためには,適切な運動と栄養摂取が必要である.骨格筋が萎縮するサルコペニア(加齢性筋萎縮症)は運動と栄養摂取の管理で筋量と筋機能が維持できることが明らかとなっている一方,そのメカニズムは未だ不明な点が多い.分岐鎖アミノ酸(Branched-chain amino acids: BCAA)は,筋力トレーニングとの関連が報告されており,血中や細胞内で遊離アミノ酸として存在し,様々な生理機能を持つことが明らかになっている.摂取されたアミノ酸の多くは肝代謝されるが,BCAAは骨格筋組織で代謝される.近年,BCAAであるロイシンの代謝産物がmTORC1(mechanistic target of rapamycin complex 1)経路を活性化させ,骨格筋形成を促進することが報告された.本稿では,運動刺激と栄養因子としてのBCAAが筋細胞へ与える影響について概説する.

著者関連情報
© ファンクショナルフード学会
前の記事 次の記事
feedback
Top