Functional Food Research
Online ISSN : 2434-3048
Print ISSN : 2432-3357
原著
麹菌を利用して発酵させた柿の葉茶のチロシナーゼ阻害活性の評価
葛西 紅音関 洋子
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ジャーナル オープンアクセス

2024 年 20 巻 p. 70-77

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抄録

近年,麹菌を利用した発酵により有用な物質を生成する報告が多くあり,緑茶を麹菌で発酵させたところ美白効果のあるポリフェノールを生成したと報告されている.緑茶と同様の成分を含むものに柿の葉茶があるが柿の葉茶は緑茶と比較して多くの没食子酸を含む.チロシナーゼに対する没食子酸のIC50は高いチロシナーゼ阻害活性を持つことで知られるコウジ酸のIC50と同程度であることが報告されていることから,柿の葉茶自体に高いチロシナーゼ阻害活性があるといえる.また,柿の葉茶には緑茶と同様にガレート体カテキンが含まれ,緑茶におけるガレート体カテキンは麹菌の分解により没食子酸と加水分解体カテキンとなることが報告されている.このことから,没食子酸の増加によるチロシナーゼ阻害活性の向上,加えて麹菌の産生するコウジ酸によって麹菌を利用した発酵柿の葉茶は緑茶と比較してより強い美白作用が期待される.そこで本研究ではAspergillus Oryzae(NBRC30113,RIB40)とAspergillus Awamori(NBRL4388)を利用して柿の葉茶を7日間発酵させ,美白作用とその要因を評価した.美白作用はチロシナーゼ阻害活性で評価し,その阻害要因を調査するために発酵柿の葉茶のコウジ酸含量と全ポリフェノール量を測定し,これらのチロシナーゼ阻害活性を調査した.その結果,チロシナーゼ阻害活性はNBRC30113,RIB40で4日目以降,NBRL4388で6日目以降に上昇した.全ポリフェノール測定では7日間の発酵期間に増加傾向を示したが,コウジ酸含量は発酵によって大きく増減しなかった.本実験で最も高い濃度であった45 mg/L没食子酸溶液と0.03 mg/mLコウジ酸溶液のチロシナーゼ阻害活性を比較したところ,没食子酸で高いチロシナーゼ阻害活性を示したことから,発酵柿の葉茶のチロシナーゼ阻害活性にはポリフェノールが大きく関わっていることが明らかとなった.

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