Functional Food Research
Online ISSN : 2434-3048
Print ISSN : 2432-3357

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高たんぱく食を給餌して高強度の運動負荷を与えたマウスの運動パフォーマンスへの影響
橋本 優希義澤 克彦井原 希中田 大介寺尾 啓二竹之内 明子内藤 行喜安井 裕之吉川 豊
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ジャーナル オープンアクセス 早期公開

論文ID: ffr22-0705

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抄録

【目的】高たんぱく(high protein,HP)食は,糖質摂取量を制限し,たんぱく質で補う食事法であり,血糖値や血中脂質の調節等に効果があるとされている.そのため,たんぱく質摂取量の多いアスリートに特に注目されている.運動は,生活習慣病を予防・改善する効果がある一方で,強度が高くなると,過剰な活性酸素(reactive oxygen species,ROS)の産生による酸化ストレスの増加,体内のミネラルの欠乏等の生体内への悪影響があることも報告されている.われわれは,運動を行う際のHP 食の影響について検討した. 【方法】雄性C3H/HeSlc マウスを20%たんぱく質を給餌した普通食(C)群と,40%たんぱく質を給餌したHP 群に分けた.両群ともに10 週間飼育した.8 週目より5 日間水泳練習を行い,練習後の10 日間は毎日20 分間の水泳運動を行った.最終日に限界運動時間と乳酸値の測定を行った後,各種組織を採取した.生化学性状(CPK,NH3,LDH,BUN),腎臓中O2- 消去活性,臓器中微量金属元素(Mg,Ca,Mn,Cu,Zn,Se)測定を行った. 【結果】HP群で腎臓重量と腹腔内脂肪重量の増加がみられた .限界運動時間はHP 群で低値となっ た.乳酸値は,C 群は運動後に低下したのに対して,HP 群は上昇した.血漿中CPK 活性,BUN 濃度ともにHP 群で高値を示した.腎臓中O2- 消去活性は,HP 群で低値を示した.臓器中微量金属元素は,各臓器においてMg,Ca,Mn,Fe(血漿を除く),Cu,Zn,Se がHP 群で低値を示した.血漿中Fe 濃度はHP 群で高値を示した. 【考察】HP 群で筋疲労,腎機能の低下および腎臓の肥大化が認められた.また,乳酸利用効率が低下する可能性が示唆された.微量元素濃度の結果より,HP 群で運動によって過剰に消費されるMg,Ca,Mn,Fe(血漿を除く),Cu,Zn,Se が,C 群より多く排泄されている可能性があり,体内のミネラルバランスを崩すことがわかった.これらによって持久力の低下が起こったと考える.

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