抄録
昭和32年に製造され倉庫の屋根材として30年間以上使用された石綿スレート大波板(クリソタイル14質量%、アモサイト9質量%含有)を(1)回転ブラシ、(2)竹箒+シュロ箒、(3)高圧水洗(7MPa)の三通りの方法でケレンし、それらを21種類の塗装仕様で塗装し、屋外暴露を約5年間実施し、表面劣化状況を観察した。また、屋外暴露試験前後に塗膜のクロスカット試験を実施した。ケレン時の空気中へのアスベスト飛散は回転式ブラシが最も大きく、次に竹箒+シュロ箒であり、高圧水洗が最も少なかった。しかし、高圧水洗であってもケレン時にはアスベスト飛散が明らかに認められた。また、塗装の耐久性にはケレン方法が大きく依存し、竹箒+シュロ箒によるケレンでは塗膜の割れ・はがれ等が認められる試験体もあった。