抄録
歴史的建造物の改修にあたり、創建当時の塗装仕様やその後の塗装履歴を明らかにすることで、当時の外観復元や改修の指針とすることが出来る。昭和初期に建設された早稲田大学大隈講堂の改修工事にあたり、各部位の塗装履歴を含めた現状塗装仕様の調査が行われた。今報では、工事関係者のご協力により、塗装を施された主要部位において現地で磨き出しを実施し、塗装断層を露出させて塗装回数と色を確認するとともに、現地で採取した塗膜片についてマイクロスコープを用いて塗装断層の数と膜厚を調べ、さらに、IR(赤外分光光度計)とXRF(元素分析)によって使用されていた塗料の樹脂や顔料種について考察したので、これらの調査結果について報告する。