抄録
ウレタン塗膜防水を施工する場合は、一般的に下地となるコンクリートに含まれる水分を十分に乾燥させてから、防水材料を塗付することとされている。しかし、防水材料が塗付されて硬化した後に、ふくれや剥離のような不具合が散見される。ふくれは施工直後に発生する場合が多く、ふくれを生じた下地コンクリートとウレタン塗膜防水との界面には、湿気や水分の存在が観察される場合が散見される。前報(その1)では、下地となるコンクリートの乾燥過程における重量変化に着目して、十分に吸水させたコンクリート試験体の重量を継続的に測定し、乾燥によると推定される重量減少は、長期間にわたって継続することを把握した。しかし、コンクリートの品質や耐久性を考慮すると、乾燥させることは必ずしも適切ではないと判断される。本報は、最初に防水施工の直後から塗膜が日射を受けることを想定して、ふくれを容易に発生させる実験方法を検討する。次に、この実験方法を用いて、プライマーの種類を変えてふくれ発生程度の違いを確認する。さらに、発生したふくれ内部に含まれるガスを分析した結果に基づき、ふくれのメカニズムを検討したので報告する。