抄録
仕上塗材を施工することにより、鉄筋コンクリート造部材の耐久性が向上することが知られている。しかし、仕上塗材を施工したコンクリートについて、部材の耐久性に関係が深い表層の水分移動性状は明らかになっていない点が多く、その把握は重要と考えられる。本研究は、仕上塗材を施工したコンクリートを対象として、水分移動をコンクリート中および仕上塗材中の拡散現象として捉えたモデルを構築し、数値計算によるシミュレーションを行った。その結果、乾燥過程では、仕上材を施工した場合、物質透過性が小さいものほど、コンクリート表層の含水率が高まること、長期的には仕上材なしのものと含水率が変わらなくなることなどの知見を得た。