抄録
環境に配慮した加熱硬化形塗装仕様における素地調整の対象としているクロムフリー系化成皮膜処理における前工程であるエッチング処理に着目し、その方法の違いが品質に及ぼす影響を検討している。本報では、エッチングに用いる薬剤の種類に着目して、薬剤の種類が異なる処理を施したアルミニウム合金表面に対する電子顕微鏡観察の結果を述べている。さらに、エッチング処理が異なる素地に生成されるクロムフリー系化成皮膜処理皮膜の主成分を分析した結果を検討している。主要な結果は、以下のとおりである。(1)アルミニウム合金にエッチング処理を施すと、処理を施す前のアルミニウム合金と比べて、表面粗さが向上する。(2)エッチング処理にアルカリを用いると表面凹凸が大きくなり、酸を用いた場合にはきめ細かい表面粗さになると推定される。(3)エッチング処理の有無や用いる薬剤の種類に関わらず、薬剤製造者が推奨する主成分の付着量を有する化成処理皮膜が生成する。(4)化成処理によって生成された皮膜の主成分が製造者推奨の付着量範囲であっても、エッチング処理を施さない場合には、アルミニウム合金素地と生成する化成処理皮膜の付着性が劣り、界面破断を生じると推定される。(5)化成皮膜処理の前には、生成皮膜の付着性を確保するために、エッチング処理が不可欠である。