抄録
環境に配慮した加熱硬化形塗装仕様における素地調整の対象としているクロムフリー系化成皮膜処理における前工程であるエッチング処理に着目し、その方法の違いが品質に及ぼす影響を検討している。本報では、アルカリや酸によるエッチング処理とクロムフリー系化成皮膜処理および粉体塗料の種類を組合せて、中性塩水噴霧試験と屋外暴露試験による耐久性を評価している。本実験で得られた結果から、化成皮膜処理の前には脱脂のみではなく、酸、アルカリあるいは両者を併用したエッチング処理を施すことが、塗膜の耐久性向上に有効であると判断できる。また、粉体塗装をした場合には、塗料の種類との適合性が見られることから、エッチングが単にアルミニウム合金素地の自然酸化膜を除去するのみではなく、化成処理皮膜の生成、さらには粉体塗装をした後の耐久性に影響を及ぼすことが考えられる。今後、環境保全に配慮した加熱硬化形塗装の標準仕様を検討するにあたり、クロムフリー系化成皮膜処理薬剤の種類ごとに適切なエッチング処理を組合せることを考慮する必要があることを示唆している。